つい暴力をふるってしまう「習慣」を変える練習を

もうひとつ大事なのは、習慣を変える練習をすること。感情があふれたときに、反射的に手や足が出てしまう回路を変えるのです。

 

苛立ちや腹立たしさが生まれたときに、本当はどうふるまいたいのか。それをお子さんが冷静なときに話し合ってシミュレーションしましょう。つい暴力をふるってしまう癖を、別の行動に置き換える練習をするのです。

 

例えば、落ち着いて話ができるようにしたいということであれば、いったんトイレなど個室に行ってひと息ついてから、自分の気持ちを口に出すという練習をする。どうしても衝動を抑えられないようであれば、クールダウンの方法は、古い枕やクッションなど専用のものにパンチしたり、声が漏れないようにクッションに顔を押しつけて叫んだりするなどでもよいと思います。

 

そんなふうに感情との付き合い方を一緒に考えてあげると、だんだんと気持ちをコントロールできるようになっていくと思います。

 

暴力を子どもの問題行動と捉えている限り、うまくいかないでしょう。暴力が生まれる背景理解が大事。それは「誰が悪いのか」と責任を探ることではありません。本人も困っているという観点から、大人たちが環境を整えていくということです。ご相談者様も、どうかお子さんのSOSを受け止めてあげてください。

 

PROFILE 小川大介さん

教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。

取材・構成/佐藤ちひろ イラスト/まゆか!