「同じ写真でも故人の好きなもので囲んであげると、なんだか喜んでくれているように見えるんです」と話すのは、棺作家の布施美佳子さん。現在はオーダーメイドの棺や、お骨を納めた小瓶と遺影を組み合わせたフォトフレームを制作しています。故人の人柄を尊重し、送る側の気持ちを和らげるグリーフケアについて、お話を聞きました。
最期だからこそ「自分らしく送られたい」
── 棺や骨壺など、どれも個性的なデザインです。こうしたものを対象に、制作を始めたきっかけは?
布施さん:
若い頃から同年代の友人や知人が、亡くなる経験をしました。葬儀に参列した際、悲しみが強すぎてご遺族に余裕がないのは理解できるのですが、最期のお別れなのに、故人の生前の人柄や“らしさ”を感じられないことが多かったんです。
そうしたことが重なるなかで、死んだとき「入りたい」と思える、自分らしい骨壺や棺桶を作りたいと考えたのが、最初のきっかけでした。
── 自分らしい「最期のお別れ」の形を考えたとき、棺や骨壺だったのですね。
布施さん:
今は「終活」という言葉が一般的になり、生前に葬儀の予約をする人も増えているようですが、まだ多くはないですよね。
でも、自分が亡くなったとき、どう送ってほしいのかを伝えておくことは大事だと思います。送る側にとっても「望んでいた形で送ってあげることができた」と、少しはラクな気持ちになれるのでは…と。
人間いつ何があるかわからないですし、ひとり娘は中学生なのですが「もしものとき、この通りにしてほしい」と、まとめた書類がある場所を共有しています。