育児漫画を描くきっかけは「子どもの防犯」

現在は、育児漫画をメインに投稿しているぽぽさんですが、インスタグラムを開始した当初は、漫画ではなく息子さんの写真を投稿していたそう。しかし、フォロワーの急増によって街で声をかけられる機会が増え、このまま投稿を続けるべきか悩むようになったのだとか。

 

「もともとフォロワーさんを増やそうと思ってはじめたわけではなく、子どもとの何げない日常を記録に残そうと思ってはじめただけだったので、街で声をかけられることが怖くなってしまったんです」

 

子どもの防犯面を考えても、インスタグラムを続けるのはやめたほうがいいかもしれないと思っていたとき、夫から突然iPadをプレゼントされ、漫画を描くことを提案されたそうです。

 

「実は小さな頃から、漫画家になることが夢だったんです。それを知っていた夫が、漫画で投稿することを提案してくれて。今の育児漫画にしてからは、より包み隠さず自分の気持ちを投稿できるようになりました」

 

今では漫画を描いてインスタグラムに投稿することが、育児中のもやもやとした気持ちやストレスを発散させる場所になっているといいます。

 

「子育てをしていて心がざわっと揺れたり、もやもやしたりしたときに、漫画に描くと不思議と気持ちがすっきりするんです。

 

私はこの作業を成仏させると呼んでいるのですが、漫画を投稿して自分の気持ちを整理するとともに、それを読んでくれた人が、一人でも救われる気持ちになってくれたら嬉しいなと思って描き続けています」

育児は自分の人間力が試されている

感受性が強く繊細なそぴ君を育てるぽぽさんは、常に「親の人間力が問われている」と感じているそう。

 

「繊細な子に限らずかもしれませんが、たとえば子どもがぐずって床に寝転んで暴れたり、公園でお友だちとうまく関われない姿を見たときに、『なんでそんなこともできないの?』とイライラしてしまうのか、『できないこともあるよね』とありのままの姿を受け止めることができるのかは、まさに自分の人間力が試されているなと感じます。

 

子どもを産む前までは、漠然と育児は楽しいものだと思っていたんです。でも、実際に育ててみたら大変なことの連続で、楽しむ余裕なんてまったくありませんでした。一方で、ひとりの人間の命を背負っているわけだから、楽しくなくて当たり前だよなとも思っています」

 

それでも人生に彩りを与えてくれるのは子どもの存在、と語るぽぽさん。

 

「人生の最後に、『あ〜子どもがいたからすごく刺激的で楽しい人生だったな』と思えたら、それが心の底から育児が楽しかったと思える瞬間なのかもしれません。

 

今は育児の真っ最中なので、楽しむ余裕なんてゼロ。上手くいかなくて感情的になってしまったり怒ってしまったりすることもあり、私もまだまだ親としては未熟者。これから子どもと一緒に成長していけたらいいなと思っています」

 

子育ては楽しくないと言いながら、そぴ君への愛情で溢れているぽぽさん。子育ての悩みはつきませんが、子どもと一緒に成長していけばいいと思えば、肩の力を抜いて育児をすることができるのかもしれません。

 

PROFILE ぽぽさん

夫のぽぺさんと、3歳の息子そぴ君との3人暮らし。フルタイムで働きながら、SNSで育児漫画や育児に関するライフハックなどを発信。包み隠さずに描くワーママの日常や壮絶なつわり、夜泣きの様子などが共感を呼ぶ。

 

取材・文/上野真依 イラスト提供/ぽぽ