芸人になる前は、看護師として働いていたおかずクラブのオカリナさん。高校から看護学校に進み、国家資格を取得して病院で勤務していました。しかし、看護師として活躍した後、なぜ芸人の道に進んだのか。お話を聞きました(全3回中の1回)。

「身内に何かあったとき…」看護師を目指した理由

 ── 芸人になる前は看護師だったとのこと。看護師になろうと思ったきっかけなど、あったのでしょうか?

 

オカリナさん:私が中学2年生のとき、同居していた祖母が脳梗塞で倒れたんです。昨日まで普通に話をしていたのに救急車で運ばれていく姿を見て、人っていつどうなるかわからないなって。このことがきっかけで、私は医者にはなれないけど、看護師には頑張ればなれるかもしれない。看護師になったら、身内に何かあったときに力になれたらって思ったんですよね。

 

── いざ、看護師になってみていかがでしたか?

 

オカリナさん:いやぁ、もう、日々奮闘してましたよ。私はなんでも器用にできるタイプではなかったし。

 

でも、担当の患者さんたちと談笑しているときは楽しかったですね。体調が良くなっていく姿を見ると安心したりして。

 

── ただ、心身ともにハードな職業なのかなと思いますが。

 

オカリナさん:基本的に、毎日追われる感じでしたね。全部のタイミングが重なっちゃうときってあるんですよ。たとえば食事介助して、おむつ交換で呼ばれて、途中で別の患者さんの処置に呼ばれ、処置中に隣の部屋で急変する人がいたり。

 

「今?嘘でしょ?」って思うくらい、一気に重なるときがあって。夜勤とか職員が少ない時間帯で、ベテランの看護師がいないときは特に気が引き締まりますよ。

 

── 患者さんによっては、メンタルのアップダウンもあるのかなと。

 

オカリナさん:急に怒り出したり、感情が高ぶって手が出る人。午前中は穏やかだったのに、午後になったら「どうしたの?」っていうくらい不穏になっているとか。あとは、ナースコールをずっと鳴らし続ける人も…。

 

もちろん、ナースコールは必要な場合は押してもらうし、医療者側もそう伝えています。大事なボタンですから。ただ、なかには必要じゃなくてもひたすら押される方もいて。難しいなって思ったこともあります。

 

看護師時代のオカリナ
看護師時代の1枚。ピースをしながらも表情は真面目なオカリナさん

── たくさんの患者さんがいらっしゃって。現場で働いていて、印象深かったことはありますか?

 

オカリナさん:新人の頃、一度、病院で泣いちゃったことがあるんです。当時、担当していた患者さんの中に、延命治療をしないと決めていた方がいて。はじめは普通に歩けていた方が、病気の進行とともに、日に日に状態が悪くなっていくのが分かるんです。

 

でも、血圧が下がろうが、脈が不安定になろうが、こちらでは積極的な処置もできなくて。だんだん見てられなくなって…。最後は亡くなってしまったんです。そのとき、私も泣いてしまって。

 

ただ、その方は、個室ではなく大部屋の方だったんですよ。上司からは、気持ちはわかるけど、他の患者さんがいる前で泣くなと注意されて。それからは、職場では泣かなくなりましたね。