「ナンクロ」を解いて気持ちをリセット
── 試合中は頭をフル回転させて進行を予測し、選手とコミュニケーションをとるにはかなりの集中力が必要ですね。ベストコンディションに持っていくために、日々のトレーニングで心がけていることは?とくに男子の試合はスピードが速いので、体力面での工夫はされていますか?
山下さん:
「男子の試合は展開が速いですが、1級審判員の体力テストをクリアできれば問題ありません。
シーズンにもよりますが、週に1回行われる試合に向けて、毎日トレーニングや準備を行っています。
審判も選手のように1試合で約10~12km走っています。短い距離で瞬発力を求められるときも多いので、ランニングやスプリント(全力で走る)など一連のトレーニングは欠かせません」
── 体力面でのトレーニングに加えて、審判技術の向上についても努力されていることはありますか?
山下さん:
「試合後には必ず、自分が担当した試合を振り返って分析します。審判インストラクターの意見を聞いたりしながら、他の人ならどう判断したかなど考え、次の試合に活かします。
試合中は自分のジャッジを振り返る余裕はありませんが、後から見返しても同じ判断をするかという視点で客観的・俯瞰的にチェックします」
── 審判は完璧を求められるなど、強いプレッシャーにさらされる仕事だという印象ですが、メンタル面での工夫は?
山下さん:
「私の場合、メンタル面は特にトレーニングをしていません。もちろん、試合では落ち込むこともたくさんあるので、自分の試合を見返したくないときもあります。
試合を見直して分析するまでが1セットなので必ず振り返りはしますが、時間を置きたいときはサッカーを完全に忘れる時間を持つようにしています。
個人的に謎解きが好きなので、今はナンクロ(マス目に漢字を当てはめていくワードパズルゲーム)の四文字熟語版にはまっています。
国内・海外問わずいろんな土地に行くので、総合旅行業取扱管理者の資格を取得したこともあります」