チームになってパワーアップする「実況ベイビー」

── 実況の構成を考えるのも大変だと思うのですが、どうやっているのですか?

 

原田さん:
ありがたいことに多くの保護者の方から、「うちの子に実況つけてください」と動画を送っていただいています。単純に見たままを実況するだけなら、すぐできると思いますが、スポーツ実況でも選手の特徴や、これまでの成績などを下調べする“取材”が大切です。

 

ほかの動画や投稿をチェックして、お名前や性格を下調べする。時間があれば、保護者の方へDMで簡単な取材をさせてもらうこともあります。スポーツ実況の準備と同じように、お子さんのキャラクターを分析したり、思い出になるようできるだけ流行っているものやイベントを絡めたり、構成を考えるのにすごく時間がかかるんです。

 

本当に困ったときは妻に相談するのですが、すごくアイデア豊富で、パッと口にすることが「いい!それだ!」という感じで助けられています。

 

── 名前から確認するとなると、かなり大変ですね。

 

原田さん:
僕が100人いて、すべての動画に実況をつけられたらいいのですが…。ご覧になる方のことも考えて同じような動画にならないようにとか、顔がはっきり見えていて、動きのあるものを選ばせてもらっている状況です。

 

ただ、ひとりでは限界があるので、以前からアナウンサー仲間にも参加を呼びかけていました。実は11月から4人加わり、チームで活動しています。

 

── 今後は「実況ベイビー」の投稿が増えそうですね!

 

原田さん:
投稿するうえでSNSの運用や動画の管理、プライバシーの配慮など、これまでの知見が必要な対応は引き続き自分が担当し、当面は週5本くらいのペースで更新する予定です。

 

仲間には「実況の技術より、育児のエンタメ化が目的」「主役は子ども。実況が華を添えることで、育児が前向きになるように」「テーマは平和。誰も傷つけない実況を」など、これまでも「実況ベイビー」で大切にしてきたことを伝えています。そこを理解してもらい、あとは自由に楽しい実況をしてもらいたいですね。

 

僕自身が感じた、ダイレクトに反響をもらうやりがいを仲間にも味わってほしいし、保護者の方やご覧いただいているみなさんに「育児は楽しいもの」と感じてもらえるよう、発信を続けていきたいと思っています。

 

元テレビ東京アナウンサー原田修佑さん
撮影中、たまたま話しかけてきた同僚と話す原田さんはリラックスした表情

 

PROFILE   原田修佑さん

​1993年愛知県生まれ。2016年アナウンサーとしてテレビ東京に入社し、スポーツ実況や報道番組などを担当。現在は教育系企業のatama plusでPRなどを担当しつつ、フリーアナウンサーとしても活躍している。

取材・文・撮影/鍬田美穂