「折り紙」でも作れる!気軽に楽しめるのも魅力

── 昨年は和紙ではなく、折り紙で作るちぎり絵の本を出されました。どんな思いがあったのでしょう?

 

ウメチギリさん:
ちぎり絵をもっとふだんの暮らしのなかで楽しんでほしいと思ったのです。

 

きっかけはある雑誌から企画を相談されたことでした。コロナ禍で外出できない方々に向けて、家で作れるちぎり絵を紹介するページを作りたいと。

 

材料は私がいつも使う和紙とでんぷんのりではなく、“折り紙とスティックのり”。自粛生活でも、近所のスーパーで簡単に手に入るものを使いたい、とのリクエストでした。

 

カレーの商品パッケージで使用されたウメチギリさんの作品

── たしかにそれなら作るハードルが下がりますね。

 

ウメチギリさん:
それが最初は「えっ、折り紙で?」と、とまどったんです。それまで和紙にこだわって作ってきたので。

 

でもこの機会に、子どもからお年寄りまで楽しくちぎってもらい、「良いのができたね〜!」とコロナ禍の部屋に飾って眺めてもらう。

 

そんな風に日々の暮らしを彩るお手伝いができたら、こんなに幸せなことはないと思ったんです。

 

その雑誌の企画をきっかけに、折り紙で気軽に作れるちぎり絵のアイデアをたくさん集めて本にしました。

 

全国各地で原画展も開いているウメチギリさん

── 読者の反応はどうでしたか?

 

ウメチギリさん:
みなさんから、さまざまなお手紙をいただきました。

 

「思春期で話してくれなくなった娘と一緒に、ちぎり絵を作りました」「遠方に暮らす母に、ちぎり絵を貼った季節のお便りを送ったらすごく喜んで電話がかかってきました」──。

 

日常の中で大切な人とちぎり絵を楽しんでくださったエピソードがたくさん綴られていました。

 

人生のなにげないシーンにふわっと光をあてるスポットライトのように、ちぎり絵がみなさんの暮らしに寄り添ってくれたらといつも思っています。