なかなか帰省できない実の両親への切ない思いも

「ただ、今年初めてわかったことがあるんです。じつは桃以外に、夫が義母に浴衣の生地をプレゼントしたんですよ。

 

義母は日本舞踊を習っていて、稽古で着るから浴衣は必要だし大好き。そうしたら生地を見るなり、『素敵ねえ。やっぱりあなたは私の好きなものがわかっているわ!』と満足げ。私にはそういう笑顔を向けたことがないのに」

 

息子の妻からのプレゼントに無防備に喜ぶのは、「負け」だと思っているのではないかと、ルリさんは想像しています。あるいは、息子の妻への警戒心かもしれません。

 

「同居しているわけではないし、なかなか距離が縮まらないのもしかたないけど、月に何度かは会っているのだし、もう少し心開いてくれてもいいのになと思うこともあります」

 

さらに夫ももっとフォローしてくれてもいいのに、と思うルリさん。

 

「でも夫は『オレがルリの肩ばかりもつといろいろあるから。ごめん』って。ときどき思いますね。実の親にもっと孝行したいなと」

 

ルリさんは実家が遠いためなかなか帰省できず、夫の親にばかり気をつかっているのがつらくなってきたといいます。

 

今どきの夫婦のなかには、「自分の親のことはそれぞれで」と決めている人たちもいます。そのほうが平等にケアできるからです。

 

ルリさんが「自分の親にも孝行したい」と思う気持ちが切なく思われます。あまり「いい嫁」を演じすぎると、自分自身が疲れてしまうのではないでしょうか。

文/亀山早苗 イラスト/前山三都里