「兄に対する理解」をまず深めること
まずはご相談者様が、ご家庭のなかで学校や習い事をどのような場として語っているか、自己点検をしていただきたいと思います。
お子さんの楽しみや喜び、成長などに寄与するプラスの存在として表現されていますでしょうか。そうではなく、「いかに行かせるか」という思考に陥り、日頃からお子さんたちにも「通わないと困る」「頑張ろうよ」といった「べき論」に基づくメッセージを多く発しているようであれば、一度立ち止まっていただきたいと思います。
親の役割として大事なのは、子どもが社会のなかで幸せに生きていける力を育むこと。そのベースには、安心して成長できる環境や、親が子どもを信頼する気持ちが絶対に必要です。そういった原点に立ち返り、2人のお子さんの状態を改めて見ていただいだきたいと思います。
そのうえでまず大事なのが、お兄さんに対する理解を深めること。本人の話をしっかり聞き、集団生活がどう合わないのか、もう少し掘り下げて理解してあげてください。学校が嫌で行きたくない、行きたくても体が向かわずに困っている、やりたいことがあって通学している暇がないと思っている──不登校といっても事情はさまざまです。
とくにかわいそうなのは、行きたいのに体が向かわない場合。不登校の多くがこのケースです。自尊感情がひどく傷ついていて、「頑張って行きたいけど、居場所がなかったらどうしよう」などと先を考えすぎて学校に行けなくなる。そして、学校に行かなかったことに責任を感じ、日に日に体が重くなってしまうのです。
もしもお兄さんがこのケースなら、「行かなかったことを引きずらなくていい。行きたくなったら行けばいい」と伝え、学習や体力づくり、生活リズムの改善など、おうちでできることをサポートしてあげましょう。「自分はいつでも学校に行けるから大丈夫」という思いを育んであげるような関わりが大事になります。