イラストはイメージです

離婚件数はこの20年はなだらかな減少傾向にありますが、その中で増えているのが、同居20年以上の「熟年離婚」。子どもが成人すると夫婦をつなぐものがなくなり、お互いの人生を歩もうするのか、離婚のタイミングを図っていたのか。その問題に対峙する夫婦に話を聞くと—— 。

将来の生き方について話し合った夫婦の気持ち

「叔母が50代後半で離婚したんです。たしかにあまり夫婦仲はいいとは思えなかったけど、叔父が定年になったとたんの離婚!びっくりしました。

 

母によれば叔母はずっと我慢してきて、今後は自分の人生を歩きたいと思ったのだとか。まあ、気持ちはわかりますけどね」

 

そう話すのは、ナミさん(38歳、仮名=以下同)。彼女自身は結婚してまだ8年。ただ、子どもが生まれてからは日々忙しく、以前のように夫とゆっくり話をする時間が減っているとも感じていました。

 

「だから叔母の話を夫にしてみたんです。そうしたら夫は『会社の先輩でもいるよ。“子どもが就職したから離婚したい”って、奥さんに言われてパニックだったみたい』と。

 

やっぱり長い間、一緒にいるとお互いにすれ違っていき修正が効かなくなるのかもしれないねとも言っていました。

 

その日は5歳と3歳の子どもたちも早く寝たため、珍しく夫とそういう話をゆっくりできました」

 

ナミさんはそんな話ができてよかった、と心から思ったそうです。もし話題に出して夫がのってくれなかったらどうしようと、一瞬、考えもしたそうです。

 

「それについても夫に言ってみたんです。夫は『このところゆっくり話せなかったから気になっていたよ』と言ってくれて。

 

子どもたちが大きくなって手がかからなくなったら、どういうことをしたいかお互いに挙げてみたりして楽しかった。

 

最終的には、『お互いのことを尊重しつつ、一緒にできることもあるといいね』という話に落ち着きました。

 

子どもふたりを抱える日々は“忙しい”だけで過ぎていくけど、たまには夫婦で10年後、15年後を話すのもいいなと思いました」

 

知らないうちに、夫婦間に亀裂や溝ができていないか、を振り返るよすがにもなりそうです。