保育園のパート勤務で学んだ保育士の子育てスキル

コロナ禍で出産した次男を抱える笑顔が素敵な豊崎さん

── 保育園で他のお子さんをお世話するのは、自分のお子さんの育児とはまた違った大変さがありそうです。

 

豊崎さん:
もちろん体力面においてとても大変でした。ひとりで見る子どもの数も多いですし、タイムスケジュールもしっかり決まっていますから。ただ、誤解を恐れずに言うと、保育園の子たちには「言うことを聞いてくれる」という期待を持っていないんです。

 

着替えてくれるはずとも思っていないし、ご飯を残さず食べてくれるはず、おしっこを漏らさないはずとも思っていません。「全然何をしてもいいよ!だってそのお世話をするためにいるんだから!」という広い気持ちでいられるのに、なぜ自分の子には「なんで牛乳ひっくり返したの!?」と怒ってしまうんだろう…という大きな気づきもありました。

 

保育園の子がお漏らししても「大丈夫だよ~」ってサッと拭いて、パンツを変えるだけなのに、自分の子に対しては「なんでトイレ行きたいって言わなかったの?」と責めちゃうんですよね。

 

知らず知らずのうちに「あんなに一生懸命トイレトレーニングをしたんだから」と期待をかけている自分に気づいて、育児を振り返るいい機会になりました。

 

── 自分の子育てにも還元できることもありそうですよね。

 

豊崎さん:
たくさんありました!たとえば、長男はしらすご飯しか食べなくて、ほかの食べ物を全然受けつけてくれなかったんです。保育園には白ご飯を食べない子がいっぱいいたので「どうやっているんだろう」と先生方を見ていると、お茶碗に入っているご飯をラップにくるんで小さなおにぎりにするんです。

 

それを「はい、おにぎり屋さんですよ~」って渡すとパクパク食べるんですよ…!「そんなことで!?」と思ったんですけれど、家で試してみると食べるんですよね。

 

他にも、嫌いなおかずを食べない子に「ひと口だけ食べてみよう」とか「ペッてしてもいいからカミカミしてみよ」とか言ってもいっさい食べてくれないのに、先生が膝にのせてあげて「あ~ん」ってしてあげると食べるんですよ。

 

「甘えたかっただけ!?」ってびっくりしつつ自分でもやってみたら、あれだけしらすご飯しか食べなかった長男がブロッコリーとかも食べたんです。保育園勤務は「そんなことで!?」という学びがいっぱいありました。