保育園に預ける「罪悪感」を減らしたい

── まだ先の未来かもしれませんが、豊崎さんが“理想の保育園”をつくるにあたって重視したいポイントはあるのでしょうか?

 

豊崎さん:
まだ理想自体を探している最中ですが、局アナ時代にネックだなと思ったポイントが2つあって、それは「罪悪感」と「時間」なんです。

 

子どもを預けていい制度があるから預けているのに、しかも働いて納税しているのに、なぜこんなに保育園に預けることに罪悪感を持ってしまうのだろうという疑問をずっと抱えていて。

 

何も悪いことをしているわけではないし、誰からも「ひどい」なんて言われていないのに、子どもがかわいそうではないだろうかと考えてしまうんですよね。

 

罪悪感を減らすにはどうしたらいいのだろう…とずっと考えているなかで、私が出した答えは「保育内容が充実していること」でした。

 

保育園に通っている間、子どもがとても充実した時間を過ごせること、習い事の代わりになるような体験ができることが、罪悪感を減らせるひとつの要因にはなるなと思うんです。

 

東京に引っ越してから、長男はカリキュラムがしっかり組まれていて、子どもファーストで楽しみながら、お勉強もできるような保育園に通わせています。

 

親の自己満足ではあるものの、長男が楽しそうに通ってくれることでかなり罪悪感が減りました。親が罪悪感を抱かずに預けられるような保育園にしたいという思いはまずありますね。

 

理想の保育園について熱く話す豊崎さん

── もうひとつのポイントに挙げた「時間」については、どんな悩みを持っていたのでしょうか?

 

豊崎さん:
長男を出産して職場復帰したときは情報番組の担当をしていたんです。

 

番組を始める前に皆で会議をするんですけれど、何となく雰囲気で「昨日、私以外のメンバーで飲み会あったんだな…」って思ってしまったことがあって。

 

確かに誘ってもらっても行けなかったし、皆も気を使って誘わなかったんだろうし、誰も悪気がないのは百も承知の上で「あれ?私傷ついてるかも…」という感情に気づいたんです。

 

夜のバラエティの仕事や泊まり勤務もなくなりましたし、これまでのように働けないんだな…という寂しさもありました。多くの保育園では預けられる時間が決まっていますし、夜遅くまで預けられる施設もあるものの、歓楽街に近かったりとエリア的に偏りもあるというか、一般的ではないですよね。

 

決められた時間だけでなく、ライフスタイルに合わせて自由に預けられる保育園をつくれないかなというぼんやりとした理想も持っています。

 

── 今後、フリーアナウンサーと保育士の仕事はどのようなバランスで進めていきたいと思っていますか?

 

豊崎さん:
今は芸能界のお仕事がメインですが、保育士の仕事を続けていれば、コメンテーターの仕事をするにも目線がひとつ増えますし、ブログやYouTubeでもいろいろな共有ができますし、相互に吸収しあえる面もあると思うので、両立していけたらいいなとは思っています。

 

まだまだ勉強がたりないので、東京での生活が落ち着いたら、またどこかの保育園で働きながら学んでいきたいですね。

 

PROFILE 豊崎由里絵さん

1988年生まれ。兵庫県明石市出身。2013年、MBS(毎日放送)に入社。「痛快!明石家電視台」「プレバト!!」のアシスタントなどを担当し、2019年に退社。2020年からアミューズに所属し、現在はタレント、フリーアナウンサーとして活動。自身のYouTubeチャンネル「とよチャンネル」では男の子ふたりの育児について発信している。

取材・文/荘司結有 撮影/CHANTO WEB NEWS 写真提供/豊崎由里絵