「パートナーも子どももいないから、貯金がなくてもなんとかなるでしょ」。そんな考えに対して、「逆です!独身だとより多くのお金を貯める必要がある」と、家計再生コンサルタントの横山光昭さんはいいます。
ストレス、過労、ケガ…“働けない”は隣り合わせ
なぜ独身の方は多くのお金を貯めなくてはいけないのでしょうか。年をとるにつれて、困ったことが出てきたときに、お金で解決しなければならないからです。
たとえば、介護が必要になったとき。配偶者や子どもがいなければ、訪問介護やデイサービスなどのサービスに頼らなければなりません。
ある程度の支出は公的な介護保険でまかなえますが、介護の度合いが進むと、サービス全額を保険でカバーできず、差額を自腹で払う必要があります。
また、民間の有料老人ホームに入居した場合は入居一時金や月額料金も発生します。
これらに月10万円程度の費用がかかるとなると、5年間で500~600万円はかかります。介護の期間が長くなれば、さらにお金がかかるでしょう。
また、高齢になると賃貸住宅が借りにくくなります。部屋で突然亡くなったり、支払い能力がなくなったりすることを大家さんが恐れるためです。
住む家を確保するには前もって買っておくか、買えるだけの資金を貯めておく必要があります。
心配なのは老後だけではありません。ガンや脳卒中などの病気やケガ、精神疾患で、突然働けなくなることも考えられます。
収入が途絶えてしまえば、療養期間の生活費や家賃などがまかなえなくなります。
実家の両親が健在なら助けてもらえるかもしれませんが、そうでなければ、貯金に頼るしかありません。療養期間によりますが、やはり数百万円は必要でしょう。
このように考えていくと、独身の人が貯金をしないことは、非常にリスクが高いのです。