私のような働き方はしてほしくない

── 今後はどんなことを予定していますか?

 

安藤さん:
今までは、ニュースや情報番組の生放送にたずさわってきましたが、これからは研究者としての自分の一面をもっと、もっと深めていきたいですね。そのひとつとして、『「イエ中心主義」の政治指向 自民党の女性認識』(明石書店)という本を出しました。

 

この本は、私のこれまでの働き方に対する猛省から生まれたものなんです。あとに続く女性たちに同じような働き方をしてほしくないと思って。

 

── 第一線で、華々しく活躍されてきた印象ですが。

 

安藤さん:
私が20代の頃、テレビや報道の現場は男性社会だったんです。私は自分の居場所をつくるために、ときにはおじさんに同化し、ときにはペット化して、「私はあなたたちを脅かす存在ではありません」と見せていたんです。

 

当時はそれでよかったんですけど、あとに続く後輩たちには同じ道はあゆませたくないなって。この本を書いた原動力というのはそこにあります。

 

私の後ろに続いてくれる人たち。同じ職業という意味ではなくて、社会に出て自分がなんらかの役割を果たそうとしている人たち。結婚して主婦になる選択肢をした方たちも、「自分らしくある」ことが制限されない社会になってほしいと思います。

 

そのために、講演活動や後輩育成、研究成果を本にまとめるなど、私ができることを発信していこうと思います。

 

PROFILE  安藤優子さん

キャスター、ジャーナリスト、社会学者。フィリピンの米軍基地潜入ルポ、アメリカ日系一世の記録などの海外取材レポートを担当。フジテレビ系「直撃LIVEグッディ!」などでMCを務めた。近著は『自民党の女性認識――「イエ中心主義」の政治指向』(明石書店)。


取材・文/間野由利子 撮影/坂脇卓也