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「ALLY(アライ)」という言葉をご存じでしょうか。これは、LGBTQを理解したい、支えたいという思いを持った人のこと。株式会社ファミリーマートでは、このALLYの輪を広げていくための活動を行っています。サステナビリティ推進部ダイバーシティ推進グループの坪井洋子さんに詳しくお聞きしました。

同性パートナーにも法律上の配偶者と同じように社内制度や福利厚生を適用

ファミリーマート サステナビリティ推進部ダイバーシティ推進グループの坪井洋子さん
サステナビリティ推進部ダイバーシティ推進グループの坪井洋子さん

── ファミリーマートでは2019年からLGBTQに関する取り組みを行っているそうですね。どんなことを大切にしていますか?

 

坪井さん:
LGBTQの取り組みは、ダイバーシティ推進の一環として進めています。カミングアウトしてもいいし、しなくてもいい、誰もが気兼ねなく発言できる風土の醸成、自分らしく働ける職場を目指して、LGBTQについて正しく知り、理解することを大切にしています。

 

こうした姿勢や行動は、私たちが多様な生き方をしている一人として、誰にとっても安心・安全な環境をつくることにつながると考えています。

 

ファミリーマート サステナビリティ推進部ダイバーシティ推進グループの坪井さんと同マネジャーの北原さん
坪井さん(左)と、同じサステナビリティ推進部ダイバーシティ推進グループマネジャーの北原和佳さん

── LGBTQの取り組みの特徴を教えてください。

 

坪井さん:
正しい知識と理解を醸成するために全社員に向けてセミナー、ニュースの発行、いつでも視聴可能な動画の発信、オンラインイベントの開催などを行っています。

 

また、今年7月1日からは同性パートナーについても、法律上の配偶者と同じように社内制度や福利厚生を適用できるようにしました。

 

すべての人が自分らしく誇りをもって、前向きに生きられる社会の実現を目指しています。性のあり方で不公平や差別があってはいけないと考えています。 

 

── なぜ、同性パートナーが社内制度や福利厚生を利用できる制度をつくったのでしょうか。

 

坪井さん:
日本では現在、法律上同性同士の結婚は認められていません。そのため通常の法律上の配偶者が受けられるような権利が受けられないことが起こりえます。ファミリーマートでは、受けられる権利を少しでも増やそうと今回の制度をつくりました。

全国各地に「ALLY」の輪を広げ、LGBTQへの理解を深める

── LGBTQを理解し、支援したいと思う「ALLY」の人たちを増やす活動についても教えてください。

 

坪井さん:
すべての社員にとっての安心・安全な職場環境づくりの一環として、2019年から活動をスタートしました。「ALLY」の輪を広げることで、心理的な安全性が高い風土の実現につなげることを目指しています。

 

セミナーなどで、LGBTQについての知識と理解を深めたうえで、「私はALLYです」と表明した社員には専用のステッカーを配布しています。

 

私は常に持ち歩く小物やケースに貼っていますが、「ALLYとしてもっと仲間と一緒に活動をしたい」という社員には、専用チャームも配布しています。

 

ちなみに、このチャームはALLY活動のメンバーがデザインしたんですよ。ハートと海の2種類あります。

 

ALLYを表明したファミリーマート社員全員に配布されるステッカーと「仲間とALLYの活動をしたい」と表明した社員に配布されるチャーム
ALLYを表明した社員全員に配布されるステッカー(左)と、さらに一歩進んで「仲間とALLYの活動をしたい」と表明した社員に配布されるチャーム

── 自分がALLYであることがわかるようにすることで、LGBTQ当事者への理解を示しているんですね。

 

坪井さん:
といっても、当事者の方々には、「カミングアウトしてください」と言うつもりはないんです。ただ、迷ったり悩んだりしたときに、LGBTQを理解したいと表明しているALLYの人たちがそばにいることで、少しでも安心できる職場につながればと思っています。

 

── ALLYの人たちは主にどんな活動をしているのか教えてください。

 

坪井さん:
定期的にミーティングをしています。そこでは毎月テーマを決めてメンバー同士で意見交換しています。

 

また、メンバー専用の社内SNSではLGBTQに関する話題や個々人の活動や情報、自分たちの想いなどを共有しています。ファミリーマートのALLYは全国にいますが、このメンバー専用の社内SNSは、全員がつながれる貴重な情報交換の場となっています。

 

当事者の方は、「こういうことに困っています」と言うとカミングアウトにつながると不安に感じることがあります。そんなとき、ALLYを表明した人たちがそういった困りごとや悩みを代弁する役割も担えるのではないかと思うんです。

 

例えば、不適切な差別用語を使ってしまう人が身近にいる場合、もし当事者の方が嫌な気持ちになっても、そのことを周囲に言うとカミングアウトにつながってしまうのでは、と不安に思うことがあるかもしれません。そういったときにALLYが代弁者となって、理解を深めていくための働きかけをすることができます。