猛アピールが認められ「きこり」の道をこじ開ける

働き始めて3年ほど経ち転職を考え始めた頃、たまたま手に取った本が、2011年に出版された『今日も森にいます。東京チェンソーズ』(徳間書店)です。

 

2006年に起業した林業ベンチャー・株式会社東京チェンソーズの活動についての本を読み、飯塚さんは「ここで働きたい!」と直感したそう。

 

「それまで、きこりとして働こうと思ったことはありませんでした。でも、大学での卒論やイベント会社での仕事を通じて現場がとても大事ということを身に沁みて実感していました。しかも、私が関心を抱いていた森林にも環境問題にも携われる職業です。

 

何よりも、本から伝わる会社の雰囲気がとても魅力的でした。この会社の一員になりたいとすっかり惚れこみましたね。

 

当時、社員募集はしていませんでしたが、“入社したいのでお話を聞かせてください”と、会社へ職務経歴書と履歴書を送りつけました(笑)」

 

その後、青木社長と会って話をすることに。当時働いていたイベント会社で「一度会ったら、必ず次のアポを取るように」と叩きこまれていた飯塚さんは、「次は林業の現場を見学したい」と約束を取りつけます。

 

「もしかしたら挫折してしまうかもしれないと少し不安でしたが、実際に山の現場を経験したら意外となんとかなりました。

 

しかも思っていたよりずっと気持ちがよくて充実感があり、やっぱりこの会社で働きたいとも。でも同時に、入社するためには、まだ自分の武器や強みがたりないとも感じたんです。

 

そこでイベント会社から、林野庁の外部団体へ契約社員として転職。森林作業道という林内作業車が通行するための道を作る仕事に携わりました」

 

その間も、代表の青木さんの講演会には何度も参加したり、折に触れて暑中見舞いなどで近況報告したり、積極的なアピールは忘れません。

 

その結果、晴れて2013年に念願の東京チェンソーズに入社することになりました。

 

「じつは会った当初は、青木は私を採用しようとは思わなかったそうです。都会のOLという印象が強く、泥臭い山仕事ができるイメージがなかったそうで。

 

でも、林業に携わる仕事への転職や何かとアピールする姿を見て、本気だと感じたようです。やる気が認められたのかなと思います」