「すべての母親にとって利益になるかどうか」が指標

── Trimでは社員全体の約半数が子育て世代とのことですが、子育て中の社員が働きやすくなるような取り組みはされていますか?

 

長谷川さん:
理念に沿って、結婚祝い金や出産祝い金は、一般の中小企業が支給する額の165%以上をお渡ししています。

 

また、一人ひとりの裁量に任せている部分が大きく、その人に合った自由な働き方を推奨しています。

 

── 子育て世代のための事業を行っている企業として、子育て世帯の社員にどんなふうに働いてほしいですか?

 

長谷川さん:
私たちはサービスの提供者側であり、享受者であってはいけないと思っています。ですから、自分たちの子どものためということではなく、「すべてのお母さんにとって利益が出るか」を重視しています。よく「子育てに優しい会社だから、子育て中の社員にもすごく優しそう」と誤解されがちなのですが、子育て世代の社員を特別扱いすることはしていません。

 

子育て中の社員もそうでない社員も、Trimの企業理念に共感してメンバーになってくれた仲間なので、特別な待遇はなく、それぞれに働きやすい形で働いてもらいたいと思っています。

テレワークのコミュニケーション不足は電話でフォロー

── 最初に長谷川さん一人でTrimを設立し、事業を始めたそうですが、その後、社員が増えていくなかで職場環境づくりなど苦労した点はありますか?

 

長谷川さん:
経営者の悩みは「人・モノ・資金」といわれますが、会社設立からこの7年で一番しんどかったのは、やっぱり「人」の部分だと思っています。

 

自分の想像を超えるパフォーマンスを出し続けるためには、やはり前向きに働ける環境づくりが必要です。テレワークも最初からうまく稼働していたわけではなく、特にチャットツールを使ったコミュニケーションでは温度感のあるやりとりができるように試行錯誤しました。

 

10名ほどの会社なので、相談ごとはチャットではなく電話で行ったほうがスムーズにいくケースも多く、 内容によって使い分けるよう意識しています。     

 

── 今後はどんな働きやすさを実現していきたいですか?

 

長谷川さん:
Trimの社員には、全員プロデューサーであってほしいと思っています。自分で判断し、アレンジを加え、必要なものをうまく配置し、実行していくことができる人材であってほしい。そういう方々にとっての働きやすさは、ルール化することではなく、指示系統を明確化することでもなく、一定の自由が守られた環境で自分の判断をもとに行動できることがより高いパフォーマンスの発揮につながると思います。

 

自立的に、チャレンジにも前向きに取り組める、そんな職場環境をこれからもつくっていきたいです。

 

 

ママやパパ、赤ちゃんたちのプライバシーが守られた個室型のベビーケアルーム「mamaro」。開発したTrimでは、あくまでも世の中のお母さんや子どもたちのための事業を成長させることを目的に、成果にこだわりながらも、柔軟な働き方を実現していると感じました。
 

取材・文/高梨真紀 写真提供/Trim