個室型のベビーケアルーム「mamaro(ママロ)」を開発、販売しているTrim株式会社。デパートやショッピングモールを中心に2017年の販売開始から5年で約400台導入されるなど、子育て世代に役立つ設備として設置数を伸ばしています。そんなTrimでは、社員の半数が子育て世代なのだそう。どんな働きやすさを実現しているのか、代表取締役の長谷川裕介さんにお聞きしました。
成果さえ出せば、一日の過ごし方は基本的に自由
── Trimの理念は、「All for mom.For all mom. 」、日本語では「すべてのお母さんに感謝し、すべての子供たちに希望を託して」とのことですが、この言葉に込められた想いを教えてください。
長谷川さん:
僕の実体験に基づくのですが、僕は28歳の時、母が他界しています。葬儀の後、母に何も親孝行できなかったと気づいて、「もう恩返しができない」と強く後悔したんです。
僕自身は手のかかる子どもで、小学生のときは親が校長先生に呼ばれてしまうこともありました。自分自身も子ども2人の父親になり、母親にすごく大変な思いをさせたのに何も恩返しができなかったことがますます残念で。
当社の行動指針のなかに「ペイフォワード」という言葉があります。「人に良くされたら3人に恩を返していこう」という古い映画に出てくるのですが、これがすごく心に響いて。僕自身はもう母親に恩返しはできないけれど、お母さんになった方、またこれからお母さんになる方にとって何か役に立てるものを残したいと、理念に「All for mom.For all mom. 」を掲げました。
── ご自身のお母様や世の中のお母さんたちへの想いを理念として掲げられているなかで、社員が働きやすくなるために何か取り組みはされていますか?
長谷川さん:
コロナ禍の影響で、今、リモートワークを行っています。成果を上げれば出社の有無も問わず、みなし労働として基本的に1日の時間の使い方は自由にしています。労働管理の面でタイムカードは使っていますが、1週間、または1か月に貢献できる成果さえ約束できれば、昼間に子どもの面倒を見てもいいし、早朝仕事をして日中は子どもと遊んでもらってもかまいません。
自分たちの頑張りを褒め合う「勝者の会」
── それは画期的な働き方ですね!そのほかにも社員のために取り組んでいることはありますか?
長谷川さん:
週の始めに1週間の目標を共有して、その週末に「勝者の会」として自分たちの成果を発表し合う場を設けています。
「全員が勝者」という前提で、誰が一番かを決めるのではなく、「自分が勝者(ウィナー)」であることをみんなの前で発表してもらう場にしています。
日本人って、なかなか自分を褒める習慣がないと思うんです。そこで、自分が一週間頑張って出した成果に対して自慢をしてもらう会として2年前に始めました。
1週間も働いていれば、忙しいなかでも「よくやったなあ」と自分で思うことってあると思うんです。それを振り返る会は世の中にあまりないと感じて、僕が提案しました。一人ひとりに頑張ったことを発表してもらって、みんなで褒めたたえながらナレッジを学び合う会にしています。