全国初、女性の防災航空隊を目指して

── 今後、どんな姿勢で仕事に向き合っていきたいですか?

 

新宅さん:
今まで経験のないことも含め、さまざまなことに挑戦しながら、知識や技術を身につけていきたいです。将来的には、広島県の防災航空隊員になりたいと思っています。

 

救助隊として働く三原市消防署の女性署員
救助隊として働く新宅さんの様子。重い消防道具も男性と同じように使いこなす

防災航空隊は、ヘリコプターを使って防災・救助活動を行う部隊なのですが、救助の仕事で航空隊の方々の仕事に触れるうちに、「私も空に行きたい」と思うようになったんです。市民だけではなく、県民を救助できる仕事に就きたくて。

 

女性の防災航空隊員は全国にもまだいません。頑張って、女性が活躍する場を開拓したいと思っています。

 

── 三原消防署救助係長の石岡徹さんにお聞きします。2015年に新宅さんが採用試験を受けた際は、まだ女性が働くための環境づくりが進んでいなかったそうですね。新宅さんが2018年に採用された際、女性も活躍しやすい職場環境づくりについてどんなことが課題になりましたか?

 

石岡さん:
まず、言葉づかいが課題になりました。消防の仕事では、大きな声を出すことが習慣になっていること、また緊急を要する場面が多いことで言葉遣いの面で荒く感じさせることが少なくありませんでした。新宅が入庁してからは、できるだけ柔らかい言葉を使うように、話しやすい雰囲気をつくるように意識しています。

 

── そうした新宅さんへの気遣いが、もしかしたら職場全体の環境を変えるきっかけにもなっているかもしれませんね。

 

石岡さん:
そうですね。救助する際も、女性やお子さんたちと接する場面で、言葉の使い方やコミュニケーションを取るときの雰囲気が柔らかくなったようにも感じます。どうしても男性が多い職場で、気づけないことも多いかもしれませんが、女性の視点も取り入れながら接しやすい環境をつくっていけたらと思っています。

 

 

広島県初の女性救助隊員として働く新宅さん。危険を伴う現場での緊張感を癒すのは、上司や同僚たちとの何気ない会話なのだそうです。新宅さんへの思いやりも感じられる職場で、さまざまな経験を通して、ぜひ目標を叶えてほしいと思いました。
 

取材・文/高梨真紀 写真提供/三原消防署