きっかけはPCのホコリとメモの習慣

シンプルながら思いつきそうで思いつかないこのデザインがどう生み出されたのかを聞いてみたところ、辻尾さんは普段から気になったことをメモするようにしているとのこと。

 

PCの画面についたホコリが電源を落とした時にはすごく目立つのに、画面がついている時には気にならないことが気になり、そのことをメモに残していたといいます。そこから中身の色により文字が見え隠れするというデザインが浮かんだとのことです。

 

「中身を入れると見え方が変わるというだけだと他にもあるので、2色に対応するものはないかと考えコーヒー牛乳になりました」

 

コーヒー牛乳という響きもどこか素朴さや懐かしさがありますね。

 

辻尾さんはサイン計画やロゴデザインを担当することが多く、そのかたわらプロダクトの制作もしているそうです。

 

サイン計画とは建物内などに訪れた人が迷うことなく目的の場所にたどり着けるよう、案内標識などを見たらすぐにわかるようなデザインにすることです。

 

こうした辻尾さんの経験も、中身がすぐにわかるこのコップのデザインに活かされたのでしょうか。

 

「どうでしょう。あんまり意識はしていなかったのですが、言われて見ればそうかもしれないですね」と辻尾さん。

 

辻尾さんは他にも、金額の「円」と同数の「円」の数でデザインした「円切手」や、送った後に一輪挿しとして飾れるレターセット「hanategami」など見た目に楽しいプロダクトを制作しているので新作が楽しみですね。

 

PROFILE  辻尾一平さん

グラフィックデザイナー。1992年、大阪生まれ。成安造形大学卒業後、トラフ建築設計事務所・TAKAIYAMA inc.を経て2019年独立。2022年TOAL inc.設立。サイン計画や商品企画立案、ロゴデザインを手がける一方、プロダクトの自主制作をし、WebサイトやSNSでの発表をしている。

 

文/村上順子