アニメとドラマの違いは台本にも

── 台本を読んだとき、作品の世界観をどのように感じましたか?

 

鈴鹿さん:
素敵な作品だなというのが第一印象です。

 

この物語に色がつき、動きがつき、そして僕の声がついたら、どんな世界観になるのか。

 

出来上がりを想像するだけですごく楽しいし、うれしい気持ちにもなりました。アニメーションは僕の生活に根づいているカルチャーなので、その世界にたずさわれること自体、すごく幸せだと思いました。

 

頬杖をつき微笑む鈴鹿さん

台本もドラマや映画で見ているものとは違っていました。

 

セリフの上にある余白はなんだろう、僕がこれまでに見てきた台本よりも2、3倍の厚みがある、など発見が多かったです。

 

セリフの上の余白は、後で知ったのですが、ト書きが入る部分でした。最初に台本をいただいたときは、まだ改訂版ではなかったので、余白が多めだったようです。

 

僕は台本にあまり書き込みしないタイプなのですが、監督からの注意などはここに書き込むのかな、などと想像しながら台本を読み進めていました(笑)。

自分とは別の「テンションの低さ」表現

── カオルはかなり影のあるキャラクターです。どんな風にカオルを作り上げていったのでしょうか?

 

鈴鹿さん:
父親との関係や過去の出来事により心に傷を持っていて、他人との関係性で冷めているような部分があります。

 

僕は普段、とてもローテンションの人間です。温度という点ではカオルに近いものがあると感じ、そんなところがうまく出せるといいなと思っていました。

 

ただ、カオルは僕と違って理由があるテンションの低さなので、そこはきちんと表現しなきゃいけないなと考えていました。