文房具やオフィス家具の製造・販売、空間デザインなどを手がけるコクヨでは、2021年2月に、これまでの社屋をリニューアル。社員だけでなく地域住民も気軽に利用できるパブリックスペースを備え、街に開かれたオフィスとして生まれ変わりました。
「オンラインでは得られないこと」を念頭に設計されたオフィスフロアからも、今の、そしてこれからの時代に見合った「働き方」のヒントを探ることができます。
「働く」と「暮らす・学ぶ」が混ざり合うコクヨの「THE CAMPUS」について、働き方改革タスクフォースに所属の江崎舞さんに伺いました。
「お客さまがくる社屋」の相乗効果
──昨年リニューアルした新オフィス「THE CAMPUS」は、まるで商業施設のようなオープンな雰囲気がありますね。
江崎さん:
コクヨの事業展開がBtoBを主体としているため、エンドユーザーとのつながりが希薄でした。しかし、これからの時代のオフィスの在り方を見つめ直したとき、業態にかかわらず社会に対してオープンであり、エンドユーザーや地域の方とのつながりを持つべきだと舵を切ることに。
コンセプトを「オフィスを街にひらく」と定め、これまでオフィスや受付・応接スペースだったエリアを全面的に改装し、パブリックエリアとして開放することにしました。
また、コロナをきっかけに「働くことを問い直す」という課題も加わり、オフィスの在り方も整えていきました。
──リニューアル後、地域や社会とのつながりはどのように変化しましたか?
江崎さん:
これまで、エンドユーザーであるお客さまとの接点を持てる機会は少なく、直接社員が売り子としてお客さまの前に立つことも、ほぼありませんでした。しかし、THE CAMPUSの1階にショップを設けたことで、お客さまが新商品を試したり、購入する様子を間近で見ることができるように。ときには社員が接客し、製品の魅力を説明することもあります。
このように、お客さまを身近に感じることで「この製品のPRは響かない」「こんな商品が求められている」という気づきにつながり、PDCAサイクルを回しやすくなっています。
また、今回のリニューアルは、設計から企画、運営まですべて社員が手がけています。「自分たちのオフィスでお客さまが過ごしていることが、心の豊かさにつながる」という社員からの声も届いています。