思春期になったら関わり方を変える
── 子どもが思春期になると「接し方が難しい」と悩む方もいます。そういう場合は、どうすればいいでしょうか?
こど看さん:
思春期になると、子どもは社会とのつながりも見えてきて、今後のことや異性のことなど不安もあり、もがいているんですよね。
生意気なことを言われて、イラっとすることもありますが、そのときは、「もがいている手が、たまたま当たったんだな」と思っています。
僕、思春期の子どもと深い話ができたときを振り返ると、 大体「看護師」として関わっていないんですよね。
看護師だから、親だから、この子をどうにかしないと…ではなく人間として関わるようにすると対応も変わってくると思います。
── 思春期の子どもには、人間同士として接する。そうすれば、「親だから」という重圧からも解放されそうですね。
こど看さん:
人間として思春期の子どもと関わるときには「自分はどういう人なんだろう」と、考えることも大切だと思っています。
基本的に大人は、子どもにとって影響のある存在。だからこそ自分はどんな人間で、相手にどんな影響を与えられるのか考えておかないと、子どもへのアプローチは不明瞭のままになります。
── ちなみにご自身は、どんな人間だと思っていますか?
こど看さん:
穏やかだけど頑固ですね。でも穏やかでいられるのは、自分の強みだと思っています。
子育てはチームでのぞむ長期戦
── 育児に悩む方に伝えたいことはありますか?
こど看さん:
「子育てはチーム戦。しかも長期戦です」と伝えたいです。
だからこそ「育児に疲れた」「子どものことで、結構気持ちがつらいかも」というときは、一人で抱えずに気軽にメンタルクリニックに足を運んで欲しいです。
「子どもを懸命に支えられていない」ではなくて「懸命に支えているからこそ疲れが出るし、悩んでしまう」のです。
どうでもいい相手のことなら、悩みは生じません。
子どもを育てていこう、支えていこうと考える層をどんどん厚くしていくと結果的に、親に余裕が生まれるはずです。
── メンタルクリニックは「特別なことがないと行けない」と思いがちです。
こど看さん:
そんなことはないです!私も以前、3か月ほど引きこもりになった際に、通院し話を聞いてもらったら、本当にラクになりました。
睡眠薬を処方された当初は「これがないと眠れなくなるのでは?」と不安でしたが、先生には「依存性はなく、睡眠状況が良くなったらやめられる薬だから」と言われて。本当に依存性はありませんでした。
── 専門家に相談することで、意外とあっさり解決の糸口が見つかることもありますね。
こど看さん:
冒頭にお話しした通り、親子関係の安定に親の安定は不可欠です。
どうかあまり頑張り過ぎずに、つらくなったら周りの人やメンタルクリニックなどに相談してみてください。
取材・文/夏野久万