2015年に神奈川県の武蔵小杉に保育サロンを立ち上げた森田さん。子どもの月齢に合わせた活動を展開していますが、実は森田さんが気にかけているのは子育てをする母親の表情。保育士の仕事を通じて見えてきた母親たちの苦悩や、「今思い出しても心が苦しい」というシングルマザーとしての子育て経験から生まれた思いを伺いました。
カフェの間借りから始まった子育て相談
──森田さんが保育サロンを立ち上げた経緯を教えてください。
森田さん:
保育士として15年働くなかで、一生懸命、愛情を持って子育てをしているのに、どこかで子どもを預けることに罪悪感を持っていて、いつも疲れているお母さんが多いと感じていました。毎日忙しい中でも、仕事も家事も子育ても、すべてを完璧にしなきゃという焦りも伝わってきていました。
お母さんの心の状態は、朝迎え入れるときの挨拶ひとつでもわかりますし、子どもたちの様子は家庭の影響が大きいということにも気づきました。
その日のお子さんの様子と併せて気掛かりな部分を連絡帳でやんわりとお尋ねすると、「実はこんなことがありまして…」ということが多かったんです。理由は夫婦喧嘩だったり、仕事でお母さんに余裕がなかったりすることなのですが、それがダイレクトにお子さんの心の状態に繋がっていて。
お母さん側の支援に回れるような方がいるかなと考えたら、パッと思い浮かばなかったんです。子育て中のお母さんのサポートができる存在になれたらいいなと思い、保育サロンを始めました。
──現在は月齢に合わせた保育活動を展開していますが、最初はカフェを間借りしていたそうですね。
森田さん:
ちょうど引っ越したばかりで知り合いがいなかったのですが、たまたま入ったカフェで、2階のスペースを貸しているという情報を見ました。最初は子育て相談や、親子遊びイベントをするというような内容で、お母さんのお悩みを聞くことから始めました。
子育てに関することは本当に個人差が大きいので、まずは話を聞いて、保育士としての経験をもとにこうしていきましょうと個別にアドバイスをしていきました。いざ活動を始めてみると、話を聞いてほしいというお母さんがたくさんいらっしゃって。
口コミで広がって、カフェの外に行列で並んでいる状態になったこともありました。最初はマンツーマンでの相談会でしたが、たくさんの方が来てくださるようになって、少人数制でイベントなどもするようになりました。