「ゆる〜く」始めるのがポイント

── まずはどのように始めるのがスムーズですか。

 

森田さん:
力みすぎてしまって、踏み台や補助便座、トレーニングパンツなど、最初にすべてグッズを買い揃えてから始める方もいらっしゃいますが、子ども側からしたら、「今日からトレーニング始めます」と急に言われても、一体なんのことだかわかりません。

 

私は「トイトレはゆる〜く始めましょう」とお伝えしています。とにかく、親御さんの心がパンパンにならないようにすることが大切です。大人がいっぱいいっぱいになると、お子さんも「もうトイレに行きたくない」となってしまう場合が多いので、「ちょっとトイレに行ってみようか」くらいで始めるのがベストです。

 

── 2歳の息子がいますが、まずグッズをすべて揃えるところから始めました(笑)。

 

森田さん:
トイトレは、まずお子さんがトイレの便座に座ることから始まるので、最初はオムツを履いたままでも大丈夫です。その次はオムツを脱いで座ってみるというふうにステップアップしていきます。グッズはすぐに必要なものではないので、いっぺんに揃えなくても大丈夫です。

 

トイトレで使う補助便座や踏み台のイメージ

── これまで250組以上の親子のオムツ卒業をサポートされたとのことですが、どのような相談が多いのでしょうか。

 

森田さん:
特に排便の処理が苦痛だという声が多いです。おしっこができるようになっても、なかなかトイレでうんちができないお子さんが多いのですが、子ども側からすると今までしていた方法と違うやり方に慣れていないだけです。

 

オムツをしていたときと違って、トイレでは足を少し広げて、便座に座って踏ん張る必要があります。大人からしたらなんともないことでも、経験のないことへの怖さというのは、子どもからしたらとてもハードルが高いです。

 

トイレでおしっこができているお子さんたちはもう「うんちはトイレでするもの」だと頭ではわかっている月齢になっていますので、何かきっかけがあればすんなりできることがあります。決して焦ることなく、気長にトライしてほしいと思います。

 

この段階のお子さんたちにトイトレを無理やりすると、通っている園やトイレそのものを嫌いになってしまったり、排泄を我慢してしまったりする子もいます。お子さんの気持ちを大切にして、信じて寄り添うことが大事です。

 

── トイトレをするうえで気をつけるべきことはなんですか。

 

森田さん:
最近は、インターネットや本などで育児に関する情報が溢れていて、おむつ卒業の目安として年齢が書かれていても、その数字にばかり目が行ってしまう方が多いです。あくまで「目安」なのですが、「何歳になるまでにはパンツでいないと」というふうに不安になってしまうようです。

 

子育てに関することは個人差がとても大きいのですが、無意識に他のお子さんと比べてしまいがちです。「トイトレは長期戦ですぐに外れるものではないけれど、始めたら必ずいつか外れる」ということを頭の片隅にでも置いておいてもらえたらと思います。

 

── いわゆるイヤイヤ期と、トイトレ開始の時期が重なってしまって、トイレに誘うのも難しい場合はどうしたらいいですか。

 

森田さん:
多くのご家庭が、お子さんの自我が芽生え始めてからトイトレを始めると思いますが、私は、ダントツでイヤイヤ期の、お子様の情緒面を優先することをおすすめしています。トイトレは心の落ち着きがないと進みません。この時期は、本当になんでもかんでもイヤなので(笑)、少しイヤイヤが落ち着いてきてから始めても決して遅くないです。

 

もしイヤイヤ期と同時並行でトイトレをするならば、まずは月に1回から、トイレデーというのをお子さんと決めて、カレンダーで丸をつけることから始めてみてください。この日は、お子さん自身が決めたこととしてトイレに行ってみて、できたら褒める。そうやって段々とトイレに行く回数を増やしていきます。

 

手をかける割合としては、イヤイヤ期8:トイトレ2くらいの気持ちでいるのがいいと思います。お子さんの様子をよく見て、トイトレの割合を増やして進めていただけたらと思います。

 

森田さんによると「トイトレはイヤイヤ期が落ち着いてからでも大丈夫」

── お話を伺っていると、何か素晴らしい技術が必要ということではないというふうに感じてきました。

 

森田さん:
やはりいちばんは親と子の心のあり方だと思います。お子さんの情緒が安定していたらあとは親御さんの言葉ひとつでスッとトイレに行けることもありますので、何よりもお子さんとの信頼関係が大事だと思っています。

 

── 今、小さい子どもを育てている私たちの親世代の多くは、子どもが1歳になる頃にはオムツを外していたとも聞きます。

 

森田さん:
親世代は布オムツを使っていた方が多かったと思いますが、私も新米保育士時代の5年間は布オムツを使う園に勤めていまして、確かにオムツが早く外れるお子さんが多かった記憶があります。

 

子どもにとっても布オムツは不快感を感じやすいのですが、いちばんは、親がトイレに座らせる回数が多かったことが理由だと思うんです。やはり布オムツは洗う手間がありますので、親としても早く外したかったのではないでしょうか。今は紙オムツの性能もいいですし、当時とはライフスタイルも違っていますので、時代によって外す月齢に差が出ているのだと思います。

 

両親や親戚に「まだオムツなの?私たちの頃は…」と耳にしてストレスを感じてしまう事もあるかもしれません。でもこういうときは、人生の先輩の話を聞きつつ「どうやって外したの?」と逆に質問して、一緒にトイトレを手伝ってもらうのもいいと思います。沢山の手を借りて子育てをしていただきたいです。

子どもが発する小さなサインに目を向けて

── 子どもをトイレに連れて行こうと思っても、つい他のことをしていて、間に合わないこともあります。

 

森田さん:
核家族が増えていますのでそういうこともあるかと思いますが、トイトレ中は、ぜひ家事などの手を止めて、子どもが発する小さなサインに目を向けていただきたいです。人生の中でもここまで密に子どもと向き合える時期はないと思っています。

 

可愛い時期でもあり、親御さんからしたら大変な時期なのですが、あと半年後、あと1年もすればお子さんはガラッと変っていきます。たった少しの期間で子どもたちの世界はぐんと広がって、少しずつ親子の関係性も変化していきます。

 

お子さん自身も自我が出てきていますので、ぶつかったり、取り乱したりする日もあるかと思いますが、思いっきり向き合って行くことで信頼関係が生まれていきます。トイトレ中は親の感情も揺らぎますが、「失敗するのは当たり前」と大きく構えて、思いっきりお子さんと関わってください。

 

PROFILE 森田麻琴さん

ビーンズファミリー株式会社代表取締役。0〜3歳親子が通う保育サロンの運営や、公式アプリを立ち上げ、日本中のママが繋がるオンラインコミニュティを主催。育児や女性の心の成長、仕事についてのお悩み相談、トイレトレーニング講座も開催。

取材・文/内橋明日香 写真提供/森田麻琴、PIXTA