資格はあるけど働き場がない助産師の受け皿に

2020年9月の設立以来、約2年こもれび家を運営し、思った以上に子育て中に頼れる場所がないことに気づいた高木さん。今後は、こうした施設をもっと増やしたいと考えています。

 

「駅の数だけ、こもれび家みたいな施設があればいいなと思います。

 

散歩中、ちょっとオムツを変えられたり、しんどくなる前に赤ちゃんを預けて1時間でも身体を休められたりする場所を増やすのが理想です。

 

また、産後の母親がどこに住んでいても同じサービスを受けられるようにしたいです。

 

産後ケアはまだ注目されて間もないため、自治体によって力の入れ具合が違います。現状だと、住む地域で受けられる産後ケアのサービスが異なるんです」

 

高木さんの活動を聞き、“同じような場所づくりをしたい”と、問い合わせも少なくありません。

 

実際、高木さんと交流した人が東京都府中市と神奈川県寒川町に、産前・産後ケアに特化した助産院をオープンさせました。

 

長女が七夕のときに書いた短冊。「とても嬉しかったです。子どもたちには好きな道を見つけてほしい」と高木さん

「じつは病院勤めが大変で、資格持ちでも働いていない助産師は潜在的にいるんです。こうした人を取りこめれば、施設で働くスタッフも確保できるのではないかと思っています。

 

とはいえ、やっぱり運営は大変です。ここは助産院のため、市から産後ケア事業として補助も出ているので、何とかなっています。

 

でも、助産師でなくてもこうしたコミュニティをつくりたいと考えている人もいます。そのためにどうしたらいいか、ノウハウづくりが今後の課題です。

 

地域全体で子どもと母親を見守り、皆で子育てできる世の中になるように、コツコツと頑張っているところです」

取材・文/齋田多恵 写真/新井加代子