「母親の孤独感」はなくせる
その言葉どおり、こもれび家では、ランチ会やコンサートなどが開催され、年齢、性別を問わず、さまざまな人が訪れます。
「高齢者の方は赤ちゃんを見て元気になってもらえるし、独身で出産にも関心がない人も“赤ちゃんって可愛い”と、気づくきっかけになるかもしれません。
赤ちゃんや子どもを間近で見ることで、親近感がわきます。それが地域で子どもを見守り、子育てすることにつながっていく気がします」
こうしたコミュニティは、孤独になりがちな母親にはとても大切です。とくに今はコロナ禍で、他人と接する機会が減り、気軽に他の母親とも話せません。
そして、多くの母親たちが、不安なことが起こるとインターネットを頼って調べることになります。
「残念ながら、調べれば調べるほど知識は増して、“この子は重病かもしれない”と、さらに不安が増す場合が多いんです。
でも、ここ(こもれび家)で他人の赤ちゃんを見て、“あ、うちの子と同じだな”などと気づき、“これでいいんだな”、“ムリする必要なさそう”と思えると、少しずつ育児を楽しむ余裕ができるようです」
また、一般的な子ども広場などでは、“子どもは3歳まで”など年齢制限があるところが多いのですが、成長するごとに新たな悩みが生じるのが子育てです。
だから子どもが成長しても、母親が気軽に訪れ、相談できる場所が必要です。こもれび家は、子どもがいくつになっても訪れることができます。
「こもれび家は“いつもそこにある”。だから、子育てに不安を抱えた女性からも安心してもらえる。
ここに来れば誰かがいて、話し相手がいるとなると、自然と人が集まります。見知った人と顔を合わせる機会が増えると信頼関係も生まれ、相談もしやすくなるんです」
1人目の育児が大変だと、2人目の出産をためらう人も。でも、「頼れる場所があれば、2人目、3人目を産もうとする人も増えるはず」と、高木さんは言います。
実際、利用者から「こもれび家が近くにあるから、2人目を産もうと思います」と言われたときは嬉しかったそうです。