感情を伝えられない子どもの心を知るには?

── 今、助けるべき状況なのか、子どもの心がうまく読めない保護者も多い気がします。どうすれば、子どもが嫌だったこと、困ったことを保護者に話してくれるようになりますか? 

 

吉田さん:
とくに低学年までの子どもは感情を言葉にする能力がまだまだ未熟ですし、大きくなっても「これは悪口になるのかもしれない」「こんなことを言ったら親を困らせるかもしれない」と不安や不満を口にできない子どももいるでしょう。

 

ただ、モヤモヤを抱えすぎると過度なストレスがかかります。吐き出したいときに吐き出せるよう、まずは「何か嫌なこと、困ったことがあったら、聞きたいよ、役に立ちたいよ」という態度や気持ちを示すのがいいと思います。

 

保育園や学童の帰り道などに、「今日、どんなことがあった?楽しいことはもちろんだけど、嫌だったなっていう気持ちも聞きたいよ」というような言葉がけをしてみてはどうでしょう。

 

小学校の低学年ぐらいまでなら、保護者が自分のことを気にかけてくれていると感じるのは、それだけでも心地よいものです。

 

── 話すのが苦手な子はどうしたらいいでしょう?「うちの子は何も言わないから何を考えているのかわからない」と話す保護者もいます。

 

吉田さん:
一緒に絵を描くのはどうでしょう?気持ちの発散にもなりますし、幼児であれば「今日のヒーローは誰だった?」「大好きなお友達は?」、小中学生であれば「今、どんなキャラクターが流行ってるの?」「どんなお洋服を着てみたい?」「先生の顔、描いて」…といったように、何気ないトピックが子どもの気持ちを引き出してくれるかもしれません。

 

私は、小学校3年生ぐらいまで、子どもたち一人ひとりと交換日記をしていました。文章が苦手な子は、絵でその日の出来事や気持ちを伝えてくれました。

 

ごくたまにですが、小6の娘と中2の娘は今でも、本当に嫌なことがあったとき、悩んでいるとき、交換日記に書いて渡してくれます。私も「書いてくれてありがとう」と返事を書くようにしています。