竹林問題解決に向けてギネスに挑戦!
── 放置竹林の問題が流しそうめんを始めるきっかけになったんですね。
上田さん:
そうです。せっかくならばたくさんの人に竹林問題に注目してほしいと思い、流しそうめんのギネスに挑戦することにしました。それが2009年の出来事です。
ギネスに認定されるための当時の条件は、ゴール時点にそうめんが1本でも到着すればよいというシンプルなものでした。
京都府井手町で全長3キロの流しそうめんに挑んだのですが、まだ20代前半の若者の提案に地元の300〜400人の方が協力してくれて。場所を提供してくれたり、道路を使用するにあたって許可を取ってくれたりと、本当にありがたかったです。
ただ、この挑戦は実は大失敗に終わってしまいました(涙)。
── 失敗⁉️ 原因はなんだったのですか?
上田さん:
原因はたくさんあります(笑)。ひとつは、流しそうめんのスタート地点に給水所がなかったこと。そのため水を流してたりなくなるたびに、別の場所から水を汲んで持っていくことに。また、竹同士がきちんと連結されておらず、途中で水漏れも起きました。そのせいでそうめんが流れなくなってしまったんです。
このときの失敗は本当に自分の考えが甘かったことが原因で…。協力してもらった人たちや、ゴール地点でそうめんを待っていた子どもたち、中継に来てくださったテレビ局の方たちに本当に悪いことをしてしまい、平謝りでした。テレビ局の方はヘリコプターも飛ばしてくださっていましたからね…。
── 次に挑戦したのはいつですか?
上田さん:
2年後の2011年です。場所は同じく京都府井手町で、このときは400〜500人ほどの人たちが協力してくれました。
前回の失敗を踏まえ、まずはスタート地点を変更しました。給水のために川が横にあり、すぐに水を汲める場所にしました。実行委員会を設立し、10グループほどにメンバーを分け、作業を分担。パートごとに竹をカットしてくり抜き、繋げていく。グループごとに責任を持って、竹にヒビや穴がないかなど丁寧に確認してくれました。前回は途中で登りもあったので、このときは傾斜がつくように工夫もしました。
おかげで3216.7mの流しそうめんが成功!ギネス記録を達成できました。
── 3216.7mとなると、相当量の竹を使いそうです。
上田さん:
3km分の竹となると400〜500本分になるので、相当な面積の竹林が綺麗になりましたね。毎年やれれば放置竹林の問題はある程度解決しますが、しかし、400〜500本分の竹をカットしてくり抜くなどの加工がものすごく大変で、残念ながら恒例化とはなりませんでした。
でもギネスに挑戦したことが、竹林問題について多くの人に知ってもらうきっかけになったのではないかと思います。以後、たくさんの自治体やボランティア団体が流しそうめんのギネスに挑戦しています。
たとえば、ギネス未認定ですが、2014年には熊本県菊池市が世界最長の3328mを記録しました。また、2016年には奈良県御所市で3317.7mを弾き出し、ギネス記録を更新しました。
私は、ギネス挑戦をきっかけにますます流しそうめんの世界にハマり、世界中に流しそうめんの魅力を伝えるために「世界流しそうめん協会」を発足しました。その後も、京都駅ビルの顔とも言える171段の大階段で早さ日本一の最速の流しそうめんに挑戦するなど、さまざまな取り組みをしています。
当初の目的だった各地の竹の整備になかなか繋がらない現実もあるのですが、今後もイベントを通して竹林問題について伝えていければと思っています。
取材・文/酒井明子 写真提供/世界流しそうめん協会