「将来の夢はマーメード!」を増やしたい
── マーメイドの仕事をやっていてよかった!と思った出来事はありますか?
ももさん:
マーメイド仲間とよく話すのが、「子どもたちの将来なりたい職業ランキング」に、いつか「マーメイドパフォーマー」を入れたい!ということ。今、5歳の息子がいるのですが、息子の幼稚園のお友達が「将来の夢はマーメイド!」と言っていたみたいで、それを聞いたときは嬉しかったですね(涙)。
── 人魚に憧れた子どもたちが「人魚になるため」にはどうしたら良いのでしょうか?
ももさん:
人魚になるためには、まずは海でたくさん遊んでいろいろな経験をしてください。マーメイドになるためには、「マーメイドフィン」をつけることになるので、動きにくくなります。そのためにも、まずは水に触れる経験を重ねる必要があります。
ちなみに、私のマーメイドフィンは14キロ、長さは150cmの本格仕様です。リアリスティックを求め弾力性やしなやかさのあるシリコン製のフィンを、10年前にアメリカ・フロリダのコスチューム制作メーカーから取り寄せました。
当時、30万円もしたので、親に「あんた、何買ってるの!?」と怒られました(笑)。
ただ、国内のマーメイドパフォーマーで、ここまで本格的なマーメイドフィンを使っている人はまだ少ないです。もっとお手軽なフィンがネットでたくさん売られています。
あと、マーメイドになるための「マーメイディング」の講義を受けるのをおすすめします。人魚らしく華麗に泳ぐための方法や安全に楽しく行うための方法を学ぶことができます。
今ではいろんなところでマーメイディングを学べるようになってきていますが、私のところでは、文部科学省認可のダイビング指導団体ジャパンクマスのスペシャルプログラムとしてマーメイドになるための講習があります。私がコース構成や教材を制作しました。
── マーメイドパフォーマーとして働くなかで叶えたい夢はありますか?
ももさん:
「プロのマーメードパフォーマー」になることです。私の考えでは「プロ」と呼べるのは、マーメードパフォーマーで生計が立てられること。でも、マーメイドパフォーマンスで生計を立てるのは、私を含めて今の日本で
世界では、マーメードパフォーマーだけを生業としている人がいっぱいいます。たとえば、先ほどのハンナ・マーメイドをはじめ、マーメイド・メリッサ、マーメイド・エレなど、世界的に活躍している一流のマーメードパフォーマーたちがそうです。
また、海外では水族館の水槽で人魚が泳ぐマーメイドショーが盛んなのですが、日本では「水槽に魚以外のものを入れることに抵抗がある」「人魚ではなく魚を見てほしい」など、さまざまな意見があります。
ゼロからイチを生み出す作業なので、乗り越えるべきハードルは高いです。でも、子どもたちのためにも、マーメイドパフォーマーの認知を広げていき、この仕事で生活ができるように道を切り開いていけたらと思います。
そして、もっとたくさんの、これまで見たことのないすばらしい海の世界に身を置いて、かつてないファンタジーの作品をみんなに見ていただきたいという夢もあります。その夢に向かってマーメイドパフォーマーとしてこれからも挑戦し続けたいです。
取材・文/酒井明子 写真提供/マーメイドパフォーマーもも