海の中を華麗に泳ぐ人魚の姿に憧れて、「いつか人魚姫になりたい!」と小さい頃に夢見た人も多いのでは?その夢を実現したのが、鹿児島県いちき串木野市羽島の海岸を中心に人魚として活動をしているマーメイドパフォーマーのももさん。人魚の仕事や魅力について伺いました。

世界ではすでにメジャーな人魚の仕事

── 日本では聞きなれない職業ですが、「マーメイドパフォーマー」とはどのような仕事ですか?

 

ももさん:
人魚の姿になって、海や水族館、プールでファンタジーの世界をつくり出す仕事です。

マーメイドパフォーマーのももさん
マーメイドパフォーマーのももさん

マーメイドパフォーマーは、オーストラリアやハワイ、タイなどでは比較的メジャーな職業です。海で人魚のようなパフォーマンスをしたり、水族館の水槽でマーメイドショーを行ったり、ビーチやプールパーティーを盛り上げる活動をしています。

 

日本でも、SNSで見る限り、ここ1〜2年でマーメイドパフォーマーはずいぶんと増えたと思います。私が活動を始めた10年前はほとんどいなかったと思うのですが、今は、20人くらいはいるのでは。とはいえ、少ないですよね(笑)。

 

── ももさんはどうして「人魚になろう」と思ったのですか?

 

ももさん:
小さい頃に観た、トム・ハンクス主演の人魚映画『スプラッシュ』の影響が大きいと思います。それに出てくるマーメイドが本当に素敵で。セリフを完璧に覚えてしまうくらい何十回も繰り返し観ました。

 

あと、世界中で活躍しているマーメードパフォーマー、オーストラリア出身のハンナ・マーメイドに触発されたのもあります。圧倒的なパフォーマンス力で、海のなかを泳ぐ姿が私のイメージする人魚そのもの。本当に美しいです。

 

人魚らしい華麗な泳ぎを意識している
人魚らしい華麗な泳ぎを意識している

「私もマーメイドパフォーマーになりたい!」と思い、2015年から、ダイビングのインストラクターをするかたわらマーメイドパフォーマーとしての活動を始めました。

 

── 具体的に、どうやって活動を始めたのですか?

 

ももさん:
日本では、海外のようにマーメイドパフォーマーの土壌がまったくありませんから、イチからつくり上げていきました。最初は、サプライズで海に現れ、みなさんを喜ばせることから始めました。波打ち際でフィン(尾びれ)を大きく振り上げて海面をパシャ!と叩くんです。そのときの皆さんの驚きの反応は今でも忘れられません。

 

「え?なになに?いま人魚の尻尾が見えた?」みたいな(笑)。

“マーメイドもも”というキャラクターをつくり上げるために、マーメイドフィンは1種類と決めている

── それは確かにびっくりです(笑)。

 

ももさん:
「いっしょに記念撮影したい!」と喜んでくれる人もいますが、「見ちゃいけないものをみてしまった…」という反応を示す人もいました(笑)。子どものなかには、「なんだ、偽物じゃん」という子も。逆にそういう反応をされると燃える性格なので「仲良くなってやる!」と意気ごみましたね。

 

その甲斐あって、徐々にみなさんが私の活動に理解を示してくれるようになりました。今ではもう驚かれることも引かれることもなくなりました(笑)。

 

── いまや、ももさんが住んでいる鹿児島県いちき串木野市では有名な存在なんですね!

 

ももさん:
ありがたいことに、テレビなどのメディアで取り上げていただいたり、SNSで知ってもらったりして、徐々に人魚としての存在を認知してもらえるようになりました。

 

今では毎年、鹿児島県いちき串木野羽島の遊覧船「オースタライエン号」と、コラボイベントをさせていただいています。

 

遊覧船「オースタライエン号」の周りに人魚が登場!
遊覧船「オースタライエン号」の周りに人魚が登場!

グラスボートから海底をのぞくと人魚が見えるというイベントで、「人魚と会える観光船」として新聞などで取り上げられました。

 

また、商業施設の子ども向けプールに登場したり、クラブイベントのプールパーティに登場したり、2016年には、水中探検家兼カメラマンの方と知り合う機会があり、人魚の初の写真集『人魚物語』とソロ写真集『人魚の海日記』をデジタルでリリースしました。

 

マーメード仲間と一緒に作った初の人魚の写真集『人魚物語』
マーメード仲間と一緒につくった初の人魚の写真集『人魚物語』