冷蔵保管する場所も重要?ベストポジションはどこ?

── 1日我慢するだけで美味しさが変わるんですね!まだ、他にも美味しく飲むコツはありますか?

 

くっくさん:
冷蔵室での保管場所もポイントです。避けたほうがいい場所はドアポケットや冷却ファンの近くなどで、ここは冷蔵室の中でも振動が加わりやすい場所だからです。

 

また、扉を開け閉めする際にも振動が加わりますので要注意です!できるだけやさしく開け閉めしてあげてください。

 

実際に美味しいラガービールを出すお店では、なるべくビールの入った容器を動かさず、静置させてから出すよう実践しているようです。

 

── 振動がポイントなら、冷蔵室から出した後もそっと運ぶほうがいいですね。そして、ようやくあとは飲むだけですね!

 

くっくさん:
残念ですが、もう少し…です。ビールを注ぐグラスも重要で、その洗い方で味を左右します。

 

じつは「油脂」もビールの大敵。食器を洗ったスポンジでグラスを洗うと、油脂が付着しやすいのです。ビールの泡立ちも悪くなり、見た目や味を損ねてしまいます。

 

また、グラスについた傷も要注意。その傷によって摩擦が生じ、炭酸が揮発する要因になってしまうので、グラスはなるべくやさしく洗いましょう。

 

こだわるなら、グラス専用の柔らかいスポンジを用意すること。グラスの傷を回避し、油脂の付着も防げます。

 

洗剤は食器洗い用の中性洗剤で問題ないですが、香りが強すぎるものは避けたほうがいいですね。

 

また、洗剤の洗い残しを避けるため、水ではなく「ぬるま湯」で洗いましょう。洗い終わったら、グラスを逆さに立てて自然乾燥させるのがおすすめです。

 

布巾などで拭くと、糸くずやほこりがついてしまう可能性もありますから。

 

ビールはすごくデリケートです。一般的に「庶民のお酒」のイメージだから、ワインのように扱われませんよね。

 

でも、準備に少し気をつけると、「本当に美味しいビール」を自宅でも味わうことができますよ!

 

PROFILE くっくショーヘイさん

ビアソムリエ・ビアジャーナリスト。5000種以上のビールをテイスティング。「ビアジャーナリストアカデミー」などで講師を務めるほか、日本地ビール協会公認「シニア・ビアジャッジ」として国際ビアコンペでの審査も行う。最新刊は『うまいビールが飲みたい!最高の一杯を見つけるためのメソッド』(リトルモア)。

取材・文/高田愛子 画像出典(サムネイル画像除く)/『うまいビールが飲みたい! 最高の一杯を見つけるためのメソッド』