スーパーなどの陳列状態によってもビールの味は変わる

ビールが美味しいと感じる季節が到来。「自宅で飲むビールは、どこかお店とは違う…」と感じる人もいるでしょう。しかし、ひと工夫するだけで味は見違えるようになるとしたら?ビアソムリエのくっくショーヘイさんに、自宅で美味しいビールを飲む秘策を聞きました。

「買って帰って即飲んじゃう」がご法度な訳

── まずはビールをお店で買うときのチェックポイントはありますか?銘柄が同じビールなら、どこで買っても同じですか?

 

くっくさん:
違います!まずどの売り場にあるかで質が変わってきます。

 

ビールはまず「熱」に弱いです。要冷蔵の商品が常温保管されているのはそもそもご法度。

 

常温流通可能な大手のビールでさえも、25℃を超えると味わいの劣化が始まると言われています。段ボールのような臭いでも香りが弱くなる原因になります。

 

また、「光」にも弱いんです。紫外線によってホップ由来の成分が変質し、獣の臭いと形容される“日光臭”がつくこともあります。

 

特に瓶ビールの場合は茶色のものはまだ光を通しにくいですが、直射日光はもちろん、蛍光灯や日光がバンバン当たっていないか、注意してください。

 

蛍光灯でも一部、紫外線を発するものがあります。

 

もうひとつ気をつけたいのが「振動」です。お店で買ったビールは、家に帰るまでにバッグの中でユサユサと揺れていますよね?

 

液体が衝撃を受けた状態で飲むと、炭酸が大粒になってピリピリとした刺激を感じやすくなったり、その後、炭酸ガスが早く分離して気の抜けた平坦な味になりやすいです。

 

── そうなんですね!持ち帰ったらその日中に飲みたいですが、“飲み頃”はあるのでしょうか?

 

くっくさん:
買った当日飲むのではなく、翌日がベストなので、1日我慢しましょう!帰宅時の移動で振動が加わった炭酸が落ち着くまで、1日静置させます。

 

そうすると、喉ごしや味わいがクリーンでまとまった印象になります。スーッと喉を通っていく感覚です。

 

また、ビールをしっかり芯まで冷やすには350ml缶でも4~6時間かかるので、冷蔵室に入れて1~2時間だと中心部まで冷えていません。

 

日本の大手ビール会社の「淡色ラガー」を飲む際の適温は3~6℃といわれています。これは一般的な冷蔵室の設定温度と同じ。4~6時間かけて、この温度まで冷えるのを待ちます。