わかりやすい文章とわかりにくい文章、その違いは?
わかりにくい文章の特徴として、主語が不明確、一文が長く、伝えたいことが2つも3つも入っていることがあります。わかりやすい文章を書くときは「一文一義」、1つの文章に入れたい要素は1つだけ書くことが大切です。
たとえば、次の文章を見てください。
『世界有数のコンサルティング会社、マッキンゼー社では、問題提示、解決の手法などあらゆる事柄が3つ揃いで提示される「3」は、マジックナンバーといわれていて、「理由は3つあります」「大切なことは3つです」「お伝えしたいことは3点です」などは、セミナーやプレゼン、スピーチでもよく使われる言い方です』
上記の文章は、一文が長すぎます。文章は、よけいなことをダラダラ説明すると、一文が長くなります。文章が長くなればなるほど話が分かりにくくなってしまいます。
まずは、文章を短く切る。一文を短くすることを意識しましょう。たとえば、上記の文章を下記のように書いたらどうでしょうか。
『世界有数のコンサルティング会社、マッキンゼー社では、問題提示、解決の手法などあらゆる事柄が3つ揃いで提示されるのは有名な話。「3」は、受け入れられやすい数字なのです。「理由は3つあります」「大切なことは3つです」「お伝えしたいことは3点です」などはセミナーやプレゼン、スピーチでもよく使われる言い方です』
伝えたいことがあると、つい文章が長くなりがちです。しかし、一度にあれもこれも伝えようとすると、かえって読む人が混乱し、結局、何も伝わらなくなってしまいます。
わかりやすい文章を書くためには、まず文章を短く切ること。そのうえで改めて意味が伝わりやすくなるように組み直すこと。
これを意識するだけで、「わかりにくい文章」が、劇的に「わかりやすい文章」に変わります。
「期待してるよ」はモヤモヤが残る
ほかにも伝わりづらい例として、上司から部下へよく使う言葉で「期待してるよ」という言葉があります。これは、上司が部下に「がんばれよ」と励ましたり、「いい仕事をしろよ」とプレッシャーを与えたりする言葉かもしれません。しかし、言われた立場になると、「何を期待されているんだろう」とモヤっとしてしまうことも。
まずは、具体的に伝えることを意識してください。
たとえば「この間、同じ部署のAさんから聞いたけど、最近、企画の仕事をがんばっているようだね。今度その話を聞かせて。期待しているよ」というようにひと言添えましょう。言われた側は、「何が評価されたのか」が理解しやすくなります。
PROFILE 尾藤克之さん
コラムニスト、著述家、障害者支援団体アスカ王国理事、明治大学サービス創新研究所客員研究員。議員秘書、大手コンサルティングファーム役員として活躍。近著「最後まで読みたくなる最強の文章術」(ソシム)など計20冊を出版
取材・文/間野由利子