「送信したメールに対する相手の反応がなぜか悪い」「自分の文章がどうしても淡白になってしまう」。メールやビジネスチャットは便利なツールである一方、想定外の誤解を招き、トラブルに繋がる恐れも。「文章は、言葉遣いや言い回しによって、相手に与える印象が変わってくる」と語るコラムニストの尾藤克之さんに、文章を書く際に気をつけるポイントを聞きました。
語尾がメールの印象を大きく変える
言い方がきつくなってしまう。または、なんとなく冷たそうな文章になってしまう場合は、語尾の使い方に注意してみましょう。たとえば、すべての文章の語尾が、言い切り型の「ですます調」になっていませんか?
「7月30日に会議を行います。つきましてはご出席をお願いします」
この場合、相手は「有無を言わさず出席するべき」と感じてしまうかもしれません。
しかし、「予定しています」「ご出席いただければ幸いです」と、「相手にお伺いを立てる言い方」にするだけで、やわらかい表現になります。
「7月30日に会議を予定しております。つきましてはA様にもご出席いただければ幸いです」
少し、ソフトな印象になったかと思います。
要件だけのメールになっていないか
また、たとえば、上司にランチをごちそうになり「お礼」を伝えたい場合。
ビジネスライクな伝え方をする人は、「本日はおいしいランチをありがとうございました」で終わります。
一方、共感力や表現力がある人は、「本日はおいしいランチをありがとうございました」のあとに「ランチの際にお話しいただいた新しい企画の件、とても興味深かったです。また今度、時間があるときに教えてください」と、「P・S」(追伸)のひと言が入ります。
もちろんビジネスの場など「簡潔に要点だけを伝えるべき」というときもあります。
ただ、ビジネスライクな伝え方をする人は、事実のみを伝えるため、読み手に「そっけない」「冷たい」と感じてしまう可能性もあるのです。
友達とのやり取りや、相手とコミュニケーションを取りたい。「共感」や「会話を楽しみたい」といった場合は、物事のディテールを丁寧に伝えたり、「そのとき感じたこと」を伝えたりしたほうが、読み手は文章を通して「あなた自身」に親しみを感じやすくなります。