今の生活を続けながら地方の企業と働ける『ふるさと兼業』。地方企業が抱える課題への共感を軸に、各地からメンバーが集まります。この仕組みを利用して、多くの人たちがもっと多様な働き方ができないか、とふるさと兼業を立ち上げたNPO法人G-net代表理事の南田修司さんは考えます。
副業者と企業間のミスマッチを防ぐ
ふるさと兼業では、コロナ以前から対面とオンラインを混ぜてプロジェクト(副業案件)を実施していましたが、最初からうまくいったわけではなさそうです。
「実は2018年のふるさと兼業開始当初、多くの案件がうまくいかずに途中終了してしまったのです。
共感ベースで集まったとはいえ、初対面のメンバーがオンライン中心でプロジェクトを行うなかで数々の困難に遭遇しました。
例えば、オンラインだと連絡頻度やコミュニケーションスタイルの違いがストレスを生む、モチベーション維持が難しい。これらが積み重なり信頼関係に影響し、プロジェクトがとん挫することがありました。
他にも、企業側は手を動かす実務ができる人に来てもらいたいのに、兼業者はアドバイスをくれるだけでミスマッチに。
本来の課題以外にやらねばならないことが多数発生して手に負えない、などいろいろな問題が発生していたのです。
これらの課題を解決する、また、未然に防ぐため、現在は地域に根づいた専属コーディネーターが募集プロジェクトの設計から事業全体への伴走、フォローアップを行っています。
とくに案件開始時に互いのコミュニケーションスタイルや考え方へ理解を深め、オンライン中心でも短期間で信頼関係を築けるよう、専属コーディネーターが心を砕いています。
最初の小さなボタンのかけ違いが違和感や誤解を生み、後々の仕事の進め方や信頼感に影響を及ぼします。
ふるさと兼業では、キックオフ会議をとても重要だと考え、時間をかけます。専属コーディネーターがその場をとりもつこともあります。
“想い”でつながるからこそ、人間関係はプロジェクトの成否を左右します。
キックオフ会議以降も毎週・隔週1回、兼業者や企業と専属コーディネーターが個別に打ち合わせをし、不安や困ったことはないかを話し合う場を設けることもあります。
案件を進めるうちに、悩みに共感して応募したとはいえ企業と兼業者の期待ややりたいことがかみ合わなくなることがあり、その場合も専属コーディネーターがそれぞれの話をきき、調整します。
現在は、完全オンラインで行う案件が増えましたが、キックオフや進行中も互いへの理解を深める取り組みにより、途中終了はごくわずかです。
これまでの試行錯誤や工夫が、コロナ禍の完全オンラインでのプロジェクト実施に活きています」