人気女性ファッション誌の表紙を飾るなどモデルとして活躍していた敦子さんは、子育てと仕事の両立をしながら学校生活を送り、この春、助産師の国家試験に合格しました。43歳で助産師となった現在の生活についてお話を伺いました(全3回中の1回)。
5年間の学生生活で「子どもの気持ちがわかるように」
── 今年の4月から助産師として病院に勤務しているそうですね。
敦子さん:
今は、産後のお母さんや新生児の担当をしています。授乳の指導や沐浴の方法、退院後の生活についてのお話をしたり、初産の方にはおむつの替え方や、赤ちゃんのおへその処理の仕方なども伝えたりしています。まだ分娩は担当していないのですが、先輩の補佐をしながら、今年の秋頃から始まると思います。
── モデルとして働きながら助産師資格を取得したと伺いましたが、仕事や子育てとの両立は大変でしたか。
敦子さん:
全部で5年間学校に通いました。4年間、看護学校に通って看護師の資格を取り、その後1年間、助産学校に通って今年の3月に助産師の国家試験に合格しました。
忙しい時は実家の母に来てもらって家事と子どもたちの世話をお願いしました。卒業した方はわかると思いますけど、助産学校は本当に大変でした。お産は何時になるかわからないので、いつ呼び出しがあるかわかりません。
夜中に電話があったらすぐ行ったり、お産の介助をさせてもらったら次の日たくさんレポートを書いて提出したり。結構、睡眠時間を削りました。振り返ってみてもハードな1年でした。
── 社会人経験を経て再び送る学生生活はいかがでしたか。
敦子さん:
最初の頃は、朝からずっと椅子に座って勉強するのが大変でした。でも助産学校に行く頃にはすっかり慣れましたね。周りは20代前半でうちの息子とのほうが年齢的には近い方がたくさんいました。でも同じ学生という立場なので、一緒にグループワークをしたり連絡を取り合ったりしていました。
春や夏に長期休みがあったので子どもたちと一緒に休みが取れるのは良かったです。「休み明けの学校ってこんなにつらいんだ…」という子どもの気持ちもわかるようになりました。「月曜日で雨。なんか行きたくない日ってあるよね」とか、どんなに学校が楽しくても、ちょっとしんどくて行きたくない日は誰にでもあると思うんです。
子どもがたまに朝「お腹痛い」って言うのですが、測っても熱はないし、いざ休ませると実際楽しそうに過ごしていて。でも今は「熱がないんだから行きなさい」とは強く言えなくなりましたね。それよりも「わかる、その気持ち。土日で疲れちゃったよね」って。
今、長男が高校3年生なのですが、定期テストの前には一緒に勉強しました。私が勉強していると「お、ママがしているんだったら俺もしようかな」という感じで。リビングで一緒に勉強して、チェックペンや暗記シートを貸し借りして。いや、私がだいたい持っているので貸し借りじゃないですね。「ママ、これ持ってない?」と言われたら貸してあげていました。