狛犬から透けて見える地域のこと、歴史のこと
── 普段、ミノシマさんご自身はどのような活動をされているんですか?
ミノシマさん:
コロナ禍になるまでは、「狛犬さんを愛でる会」というゆるいFacebookグループを作って散歩会をやっていました。知らない人が来てもOK、オープンな感じで。
集合場所だけ決めて、どこの神社に行くかはみんなに知らせないし、狛犬さんがいるかも調べない。
── 行くまで分からないんですね。
ミノシマさん:
そうです。神社の位置だけ私が調べておいて、その日参加したメンバーで、じゃあ次はあっち、次はこっち、みたいに探し回るんです。
今って、ネットで狛犬さんの情報って見られるので、出会ったときの「あっ、いた!」という喜びや、逆に「いない……がっかり」というワクワクを感じたかったんですよね。
── まるで宝探しみたいな。
ミノシマさん:
その宝物が、私にとっては狛犬さんですね。
── 狛犬って、それぞれ顔が違うんですか?
ミノシマさん:
けっこう違いますね。なかにはコピーというか、例えば、よく神社でみる新しい狛犬って顔似てません?
── 確かに。
ミノシマさん:
だから、みんな同じ顔だと思ってるんですよね。もともとベースがあってそれをコピーしているから。
あとは変わってるな、と思って見てみると単品のものだったりするし、同じ石工さんが作っていると似ますよね。
── なるほど、石工さんが違うから、顔が違うんですね。
ミノシマさん:
そうそうそう。地域によっても特徴が違うんですよね。その地域によって美的センスが異なるというか。
例えば、東京あたりだと、江戸狛犬と言って尾が流れているものがあって、やっぱり粋というか、都会的で、江戸っ子気質を感じさせるデザインが多いな、って私は思っていて。
ポーズがいろいろある東京に対して、例えば関西は正統派できちっと座っているような形が多かったり。
尾も下がってなくてちゃんと立ってるんですね。尾が扇のようなデザインとか、顔の圧が強かったり、そういうところに華やかさがあって。関西はかつて都だったからかな、って私は思ってますけど。
また別の地域に行くと、ふくよかさが出たり、笑顔だったりとか。地域の人たちの好む表情とか、気質が出ているんじゃないかな、とうっすらと感じています。
── なるほど、地域によって狛犬さんの顔が違うのもおもしろさのポイントですね。
ミノシマさん:
旅行に行ったときに見比べると違うな、っていうのもわかるし、この地域の人たちが好きそうな雰囲気だな、って勝手な本人の思い込みを勝手に抱いて満足するとか、ということもできます。
── 地域のことを知ると、どうしてその狛犬がこういう表情するのか、も想像できそる、と。
ミノシマさん:
私は広く浅くいろんな狛犬さんを見ていますけど、ひとつの地域に根付いて、歴史や風土を調べてみるのも面白いと思います。