だんだん狛犬と話せるようになる?
── 狛犬を好きになる人に、何か特徴といったものはあるんでしょうか。
ミノシマさん:
特に属性はないと思いますよ。狛犬を見る機会が多いので神社が好きな人とか、歩くのが好きな人、写真を撮る人……老若男女問わず、という感じですね。
── 初心者の狛犬の楽しみ方があれば教えていただきたいです!
ミノシマさん:
わざわざ狛犬を観に行くぞ! ではなく、ついででもいいんですけど、見るんだったら、じっくり見ていただきたいですね。この子はこんな顔をしているんだ、って気がついてくれたら嬉しいですね。
顏だけじゃなくて、しっぽも意外と特徴があるので。ソフトクリームだったり、蕨のようなしっぽもあったり。模様好きな人や、デザインが気になる人も良いかも。
あとは、どういう角度で撮ったらかわいいか、試してみるのも良いですよね。晴れは晴れでいいですし、雨でぬれていたのすると、質感がきれいだったりするし。
── まずは見た目から、ということですね。
ミノシマさん:
そうです、そうです。数をたくさん見ているうちに、だんだん石じゃなくなってきますし。
── 石じゃない……?
ミノシマさん:
(笑)。動物でも、一緒に暮らしているうちに、なんとなく何を言っているか分かるような気になってくるじゃないですか。それに似ている気がします。勝手にコミュニケーションを取れているような気持ちになってくるんです。「また来るね」とか言ってるだけですけど。
私は狛犬さんを見すぎておかしくなっているんでしょうね。石工さんがつけたであろう蚤のあとが見えたりすると、「江戸時代に誰かが彫った蚤の痕なんだ」と思うと萌えるんですよね。すごくときめいちゃう。
── ただ狛犬を見る、だけではなくて、狛犬の奥にあるものを見ているような。
ミノシマさん:
その狛犬のバックグラウンドが分かると見え方が変わってくるんですよね。
例えば、旅行先でも「この神社に源頼朝が来たよ」だけだと「へぇ」で終わるものが、「この神社で頼朝がどういうことをしたのか」と聞くと、また見え方が変わってくる。そういうふうにひとつのことを深堀りするだけでも見え方が変わるし、かわいく見えてくる。アイドルでも、デビューまでの軌跡を知ってから見ると、すごく思い入れが強くなってくるのと似てるな、って思います。
── 最後に、ミノシマさんオススメの狛犬を教えてください。
ミノシマさん:
浅草神社の夫婦狛犬もかわいいですし、小幡八幡宮の困った顔をしている狛犬さんもかわいいです。あと赤坂にある氷川神社の狛犬さんとか…。
まずは、自分の近所の神社の狛犬さんを見て、それがどんな形をしているのか写真を撮って楽しんでもらうのもオススメです。そこから別の神社の狛犬さんを見て、違いを見つけるのも良いと思いますよ。
PROFILE ミノシマタカコさん
ライター、Web編集、狛犬愛好家。日本参道狛犬会会員。『定年後の暮らしとお金の基礎知識2015』『冷え退治バイブル』(共に扶桑社)などにライターとして参加。自著に『狛犬さんぽ』がある。
取材・文/ふくだりょうこ