「狛犬」をご存じですか?神社や寺院の入り口の両脇や拝殿などに一対で向き合う形で置かれているあの像です。この狛犬を「かわいい」と語るのは、書籍『狛犬さんぽ』の著者・ミノシマさん。地域によって特徴があったり、顔もそれぞれ違ったり…。「だんだん石じゃなくなってくる」というミノシマさんに、狛犬の魅力についてお聞きしました。
ある狛犬へのひと目惚れから始まった
── ミノシマさんが最初、狛犬に興味を持たれたきっかけというのはどういうものだったですか?
ミノシマさん:
最初はアニメ『昭和元禄落語心中』を観て落語に興味を持って落語教室に行ったんです。
── 入りは落語だったんですね。
ミノシマさん:
そうなんです。その教室の先生だった方の師匠が三遊亭円丈師匠なんですけど、円丈師匠のホームページを観たら、浅草神社の夫婦狛犬がのっていて…それを見て、「かわいい」と思ったのが最初です。
── 狛犬に対して、第一印象で「かわいい」というのがちょっと不思議な感じです。
ミノシマさん:
犬や猫を観たときと一緒ですよ。もうひと目惚れって感じなんですが。浅草神社にある夫婦狛犬は赤い傘の下に狛犬が寄り添っているんですけど、それまでの狛犬のイメージとまったく違ったのでそこからですね。
── 確かに初めて見るタイプの狛犬です。
ミノシマさん:
前は参道にいたんですけど、新しい狛犬が来たので引退して、こういうふうに飾られているのかな、と思います。
── 浅草神社の狛犬にひと目惚れしてから、どのようにハマっていかれたんですか?
ミノシマさん:
狛犬をかわいいな、と思って見始めたときに、あるライター講座に参加したんです。そのときに、「自分のプチ専門を持て」という話があったので狛犬を選びました。
そこから深掘りしていくことになったんです。たまたまですけど、環境が狛犬にハマる流れになっていたのかも。
本当は老後に神社巡りをしながら楽しもうかな、と思っていたんですけど、やっぱり調べれば調べるほどおもしろくなっていくんですよね。あっという間にハマッていきました。
── 深掘りしていく中で、特に惹かれたな、ということはありますか?
ミノシマさん:
円丈師匠が主宰されていた日本参道狛犬研究会に入ったんですけど、先輩たちが本当に楽しそうに1時間2時間も狛犬について楽しそうに話をしているんですよね。もうその話が知識の宝庫なんです。
研究されて好きで掘っている知識の宝庫を目の当たりにしたときに、狛犬も、狛犬を好きな人も含めて好きだな、と思いました。みんながそれぞれ好きな角度から狛犬を掘って、ワイワイ話をしているのを見たら、私も会話に参加したい、もっと狛犬のことを知りたい、って自然と思ったんですよね。