癒合歯の「永久歯の歯並び」への影響
乳歯が癒合歯だった場合の大きな問題点は、永久歯の歯並びに問題が生じることがあるという点。乳歯の癒合歯が生えているスペースは、2本別々に生えている乳歯よりも狭いのです。
したがって後から生えてくる永久歯が2本だった場合、スペースに入りきらず、歯が重なり合った「叢生
(そうせい)」と呼ばれる歯並びになりやすいのです。 また、生えてくる永久歯が1本だった場合は永久歯の数が足りないため、上下の歯の正中(前歯の真ん中のライン)がずれたり、隙間ができたり、上下の顎の大きさがアンバランスになることも考えられます。
こうした場合には、歯列矯正が必要になることも。乳歯の癒合歯は、歯科医院での定期的なチェックで様子を見ていく必要があるといえます。 そして、生え変わりの時期
(下の前歯なら5〜6歳)には、レントゲン写真で下の永久歯の状態をチェックして、生え変わりの対応がうまくできる準備をするとよいでしょう。
また、癒合歯は1本で生えている乳歯と比べて、生え変わりの時に片方の根が残ってしまい、スムーズに抜けにくい傾向があります。 永久歯が癒合歯と重なって生えてきてしまうと、歯並びに影響することもあるので、十分に注意しましょう。
癒合歯があることで、大げさに心配することはありませんが、歯科医院で定期的にチェックしてもらい、上手に対応していくことをお勧めします。
(※1)中村孝 町田幸雄 2009 『小児歯科カラーアトラス』 東京臨床出版株式会社
文:園延妙子