住宅の購入においては、その名義についてどうするかといった問題があります。特に資金を出し合った共同購入の場合、共同の名義にすることが多くあります。個人の名義、共同の名義、それぞれのメリット・デメリットをしっかりと考えたうえで決めるのがよさそうです。
それぞれにはどんな良い面・悪い面があるのでしょうか。また、その注意点について考えてみましょう。
■単独の名義と共同の名義
土地や建物といった不動産を購入すると、名義を登記することになります。その方法として、「単独名義」か「共有名義」かを選ぶことができます。 単独名義は個人の名義となりますが、共有名義の場合は、夫婦や親子等でお金を出し合って購入した場合などにお金を出した割合で登記を行います。 例えば3千万円で2千万円、1千万円を出し合って購入した場合は、それぞれ、3分の2、3分の1の比率となるわけです。住宅ローンを組んだ場合は、一般的には住宅ローンの名義の方で単独名義となります。 注意しておきたいのが共有名義の比率です。これは実際に資金を出した比率で正しく登記する必要があります。 例えば、全て旦那さんが資金を出したのに共有名義にしたりすると、その分が贈与とみなされることがあります。贈与となると贈与税等がかかるようになるので、納税の義務が発生するのです。 これは実際に資金の比率と異なる登記をした場合も同様なので注意が必要です。
■共有名義のメリット
個人名義ではなく、共有名義にするということは共有名義にメリットがあるからということになります。では、共有名義にはどんな利点があるのでしょうか。いくつか挙げてみましょう。 まず一つ目が、名義者のそれぞれが住宅ローン減税制度の対象となるという点です。住宅ローン減税制度というのは、毎年の住宅ローン残高の1%を10年間に限って所得税と住民税から控除できるというものです。 夫婦が共働きで共有名義となっていた場合、単独名義の減税額と比べると共有名義の現在額のほうが大きくなるため、節税面でのメリットがあるのです。 さらに2020年末までに新たに契約し入居された方を対象に、令和元年10月に行われる消費税の増税を受けてこの10年の期間が13年に延長されるため、令和元年10月から令和2年12月までの入居開始になるとトータルでの現在額が大きくなります。但し、再度消費税の増税が延期になった場合には、13年に関してもどうなるかはわかりません。 もし、住宅ローンを組む場合、連帯保証人では共有名義とすることはできません。別々のローン、もしくは連帯債務者として住宅ローンを組む必要があるのです。 もう一つのメリットが相続税の対策です。名義人の死亡時にはその名義の不動産の評価額となるのですが、共有名義である場合、評価額の持ち分の比率に応じた分だけが課税対象となり、相続税をグンと抑えることができるのです。 他にも、居住用財産の買い換えの特例で不動産を売却したときに3,000万円以上の利益が出た場合、受けられる特別控除が2人分になります。
一人当たり3千万円の特別控除が受けられるので、2人であれば、合計で6千万円までの控除が受けられることになります。
しかし、マイホームでこれほどの値で売れることはめったにありませんし、売却するために住宅を購入し共有名義にする方はまずいないでしょうから、運よくそういう条件がそろえば控除が受けられる、という程度でしかありません。 このように共有名義にすることで、税金に関するメリットが多く生まれるのです。