200-1

平成の時代には、これまで「絶対的に安心・安全」と信じられてきた銀行の破たんが、幾度となく報道されてきました。「お金を預けておくということには、そういうリスクもあるんだ!」と、目が覚めたような感覚を抱いた方も多かったのではないでしょうか。 いかなる状況においても自分自身の資産を確実に守っていくためには、「事前に正しい知識を身につけておく」ということが、何よりも重要なポイントとなります。投資の世界においても、大原則の一つと言って良いでしょう。 では、投資信託を扱う銀行や運用機関、販売機関が破たんしてしまった場合、私たちの投資信託はどうなってしまうのでしょうか。「資産はちゃんと守られるの?」等、気になる点を解説します。

■販売機関が破たんした場合

投資信託は、販売機関・運用機関・信託銀行の3つが、それぞれの役割を果たすことで、販売・運用・管理されています。それぞれの機関が破たんに追い込まれてしまった場合、投資信託はどのようになってしまうのでしょうか。 まずは販売機関について解説します。販売機関とは、実際に投資家とお金のやり取りを行い、投資信託の手続きを行う「窓口」の役割を担っています。 もちろん「販売機関が破たんする」ということもあり得るのですが、その役割はあくまでも「窓口」なので、それほど不安になる必要はありません。 財産が減ってしまうようなこともありませんし、不利益を被ることもないでしょう。ただしこれまでどおりの「窓口」を利用するのは難しくなりますから、移管された別の販売会社を使ってやり取りすることになります。

■運用機関が破たんした場合

販売会社が販売した投資信託を、実際に運用するのが運用機関です。運用機関の役割は、集まったお金を元に運用プランを決定し、指図をすること。上のケースと同様に、自身が保有する資産について、心配する必要はありません。 運用機関が破たんした場合も、別の会社がその業務を引き継ぐことになるか、繰上償還されることになります。

■信託銀行が破たんした場合

さて、窓口で販売され、運用機関が動かしてきた投資家たちの投資信託。実際に保管や管理を行っているのは信託銀行となります。投資信託関連で破たんが起きたときに、もっとも不安を感じてしまうのが、こちらのケースだと言えるでしょう。 とはいえ投資家を守る仕組みは、法律で定められているので安心してください。信託銀行は、信託銀行として自身が保有する財産と、投資家たちの信託財産は、「分別管理」するように定められています。つまりは「銀行のお金」と「投資家たちのお金」を、別々の財布で管理するよう、法律で制定されているのです。 たとえ信託銀行が破たんしたとしても、それは「銀行のお財布」の中で起こったことで、「投資家たちのお財布」にまで影響を与えるようなことはありません。 この場合も、他の信託銀行に移すことで投資信託を継続できるケースもあれば、破綻したときの価格を元にして、解約されるケースもあります。