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仕事中でも頭から離れないのは我が子のこと。「職場に保育所があれば…」と思うママも多いはず。しかし「事業所内保育所」はまだ浸透しきっておらず、子どもを持つ社員のニーズには追いつけていないことが判明しました。

 

事業所内保育所を設置している企業は1.6%…


インターネットを通じて様々な調査を行う「東京商工リサーチ」は、「『事業所内保育所』設置に関するアンケート調査」を実施。「事業所内に保育所を設置していない企業」は98.4%にのぼりました。

 

設置していない企業に理由を聞くと、半数以上が「保育を必要とする(しそうな)社員が少ない」と回答。また「事業所内保育所」を設置、運営していく上で「人材確保の難しさ」「施設のランニングコスト」を課題にあげる企業は6割を超えています。

 

ネット上でも「職場に保育所があればいいのに」という声が多く見られました。しかし意外にも、「事業所内保育所」に惹かれない人も少なくないよう。「子連れ通勤はちょっときつい」「出勤はもちろんだけど、子連れで帰るときも大変そう。疲れてヘトヘトのまま、子どもの面倒を見ながら帰らなきゃいけない」「職場まで子どもと通勤するくらいなら、近所の保育園に預けたほうが安全」などの意見も上がっていました。

 

事業所内保育所を設置するメリットとは?


保育所を設置した企業には、どんなメリットがあるのでしょうか?「『事業所内保育所』設置に関するアンケート調査」では、保育所を設置している企業を対象にアンケートを実施。「産休・育休利用者の復職率が向上した」と答えた企業は51.4%で、「人材採用に有利」というメリットは50.0%の企業からあげられていました。他にも「スタッフのもめごとが減った」「外国籍の社員が安心して働ける」というメリットが。

 

しかし職場の保育所について心配する人も少なくありません。「子どもの発達に合わせた遊びや指導ってあるのかな?」「帰って家事もしなきゃいけないし、フルタイムで働くのは避けたい。でも託児所に預けるなら早く帰るのは無理だよね」などの声が上がっています。

 

一方、実際に利用しているママからは「カリキュラムも決まってるし、子どもも楽しんでるみたい!」「普通の保育園よりは少し高いけど、しっかり面倒を見てくれます。子連れ通勤も慣れました」などの声が上がり、おおむね満足しているよう。

 

企業内保育所では様々な試みも!


企業内保育所を設置する企業も、続々と増えているようです。JR西日本では鉄道事業の特性である、“不規則な勤務”に対応した保育所を開設。社員向けに365日、24時間の利用が可能な保育所として期待されています。

 

またヤフー株式会社は、「おはなしとどうぶつ」をテーマにした「企業内保育所『ヒュッテ』」を開所予定。室内には動物たちが描かれており、約500冊の絵本が配備されています。さらには「保育所でオムツを用意」「洋服を保育所内で洗濯する」といった「手ぶら登園」を導入。「地域の保育所に入園できず、困っていたのでありがたい」「親子ともに入園が楽しみ」という社員のコメントが寄せられています。

 

保育室の中央にオープンキッチンが設置されているのは、カゴメ株式会社の企業内保育所「べジ・キッズ」。「野菜を使った食育」ができるカリキュラムを中心に、食育を楽しく身につけるための試みが取り入れられています。食育を取り入れた年間行事や、野菜をイメージしたカラフルな保育室も特徴的。

 

働くママのニーズに合った、企業内保育所が増えることを願うばかりです。

 

文/長谷部ひとみ