投資信託の王道は「パッシブ運用」
いくら金融庁が厳選した商品ばかりといっても、実際、どの商品を買えばよいのか迷いますよね。 「投資信託の商品名には、投資対象や運用方針、運用会社名が入っています。まずは、その商品の運用方針を確認しましょう」と風呂内さん。運用方針には次の2つがあります。 ・パッシブ運用・・・代表的な指数に連動した運用を目指す ・アクティブ運用・・・運用会社が独自に研究して投資する。手数料は高くなりがち つみたてNISAの商品の大部分は「パッシブ運用」です。アクティブ運用の商品もありますが、「初心者は手数料が抑えられるパッシブ運用に主軸をおくといいでしょう」と風呂内さん。
次に、パッシブ運用を行う投資信託(インデックスファンド)の中でも、どの指数に連動させようとする商品なのかを確認します。指数は、その指数を構成する対象銘柄全体の株価の動きを表しています。国内外にたくさんの指数がありますが、主なものをご紹介します。
[国内] ・TOPIX(東証株価指数)・・・東証一部に上場する全銘柄を対象とする ・日経平均株価・・・東証一部に上場する銘柄のうち、代表的な225銘柄を対象とする
[先進国] ・MSICコクサイ・・・通常、日本をのぞく先進国22か国の上場企業を対象とする ・S&P500・・・アメリカの代表的な500社を対象とする
つまり、「日経平均株価」であれば、東証一部上場企業の代表的な225社の平均株価がどう動いているのかを見られるというわけです。パッシブ運用はその指数に連動するように運用を目指すものです。
投資信託では、日本株式だけでなく、先進国株式、新興国株式など主な投資先のジャンルが決まっています。これらを「アセットクラス」と呼びますが、①国内株式、②国内債券、③先進国株式、④先進国債券、⑤新興国株式、⑥新興国債券の6つのグループに分けて考えるとわかりやすいでしょう。 投資では、たとえば日本がこれから経済成長すると期待するからこそ国内株式に投資をする、期待しなければ投資しないというのが基本的な考え方です。 「自分がどの地域やジャンルに期待するのか、それに合わせて商品を選ぶといいでしょう」
投資信託の商品には、①〜⑥をまんべんなく組み合わせた「バランス型」と呼ばれる商品があります。通常、自分で投資信託を複数組み合わせて購入していると、それぞれのジャンルで株式の上昇度合いが異なるため、しばらくするとバランスが崩れていきます。バランス型の商品では、ファンドマネージャーが追加投資などをして当初の比率を維持した運用に整えてくれるのです。 「世界全体が経済成長すると考えれば、バランス型の商品を購入するのも1つの考え方です。ただ、バランス型の商品は手数料が高くなる傾向があるので、投資に慣れてきたら自分で組み合わせや配分を考えながら商品を買い進めていくといいでしょう」
次回は、「
つみたてNISAの始め方!商品選びのポイントは?」をお伝えします。
PROFILE 風呂内亜矢(ふろうち あや)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、全国銀行協会 金融経済教育活動懇談会委員、一般社団法人みんなで作る良い行政サービス協会 主任研究員。大手電機メーカー系SIer、マンションの販売会社勤務を経て2013年にファイナンシャルプランナーとして独立。現在、テレビやラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。著書に『超ど素人がはじめる資産運用(翔泳社)』、『ほったらかしでもなぜか貯まる!(主婦の友社)』などがある。
文/田川志乃 イラスト/加藤淳一