どのような列車であれ、必ず側面にはドアがあります。いつも見ているはずのドアですが、一体どれくらいの幅なのか知っていますか?ドアの数はいくつあるのでしょうか? 知っているようで知らない列車のドア事情を見ていきます。

 

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まずは片開きか両開きで区別できるドア事情

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まずは頭の中で列車のドアを想像してください。どのようなドアを想像するでしょうか。多くの方は両開きのドアを想像すると思います。つまり、両側からドアが出てくるタイプですね。主に通勤型や近郊型のような一般的な電車は両開きのドアを採用しています。一方、新幹線や特急列車、ディーゼルカーのドアは片方から出てくるのが一般的です。片方から出てくるタイプのドアを片開きドアといいます。

 

昔は通勤型電車にも片開きドアが採用されていましたが、現在ではほとんど見られません。2019年3月現在、片開きドアを採用している通勤型電車は首都圏ですと京浜急行電鉄800形、関西圏ですと阪神7801形・7901形、南海6000系が挙げられます。いずれも貴重な車両のため、早めに乗車することをおすすめします。

ドアの幅は一体、どれくらい?

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それでは列車のドアの幅はどれくらいでしょうか。旧国鉄時代に製造された通勤型や近郊型はドア幅1,300mmとなっています。両開きドアの場合は1,300mmを標準と考えていいでしょう。一方、新幹線のドア幅は車両によって異なりますが、700mm前後です。なお、車椅子に対応しているドアの幅は1,000mmを超えます。今後、バリアフリーに対応するために、新幹線や特急列車でも幅1,000mm超えのドアが増えていくのではないでしょうか。

 

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それでは、ドア幅をどんどん広げればそれでいいのか、というとそう単純な問題でもありません。1990年代初頭、新宿と小田原、江ノ島方面を結ぶ小田急電鉄は通勤ラッシュに対応するために通常よりもドア幅の広い「ワイドドア車」を導入しました。通勤型電車1000系で採用されたのはなんとドア幅2,000mm!!先ほど紹介した旧国鉄型電車よりも700mm広いドアです。

 

「さぞかしスムーズに大量のお客さんが乗降できただろう」と思いきや、結果は正反対に終わりました。まず、ドアが広くなった分、駆け込み乗車が多くなったとか。ドア近くに乗客がたまるようになり、逆にスムーズな乗降を妨げたという話もあります。

 

また、乗客からも「ワイドドア車」に対して意外なクレームが!ドアが広くなるということは、座席数が少なくなることを意味します。そのため、乗客からは「座れない」という苦情が寄せられたようです。その結果、「ワイドドア車」の量産は中止に。「ワイドドア車」の車両はドア幅を狭くする改造工事を経て、現在でも活躍しています。

ドアの数はどれくらいがいいの?

次にチェックしたいのがドアの数です。子どもに列車の絵を描かせたら、ドアの数はどれくらいにするでしょうか。一般的に通勤型電車は4ドア、近郊型電車はドアが3ドアです。実はドアの数は車両の寿命を決定するくらい奥の深い話です。

 

昭和時代、一部の近郊型電車や私鉄の特急専用列車は2ドアでした。停車駅が少ないときは2ドアでも問題ありませんでしたが、時代に応じて停車駅が増えると問題が次々に発生。2ドアだと3ドアと比較して乗降に時間を要し、遅れが出てしまいました。そのため、2ドアの車両は3ドアに改造されるか、3ドアの新車にとって変わりました。2ドアから3ドアに改造するのは簡単なように思えますが、車両の強度が弱くなり、結果的に車両の寿命が短くなった例もあります。

 

先ほど紹介した「ワイドドア車」が登場した1990年代、ドア数を増やした5ドア車・6ドア車が京王電鉄やJR山手線などでデビューしました。しかし、多扉車も座席数の減少から多くのクレームが寄せられ、製造は中止することに。山手線の6ドア車は改造もされず、短期間で廃車になりました。

 

一方、1970年(昭和45年)登場の日本最古の5ドア車両、京阪5000系は現在でも活躍しています。5000系の長寿の秘密は座席を天井に上げ下げできること。つまり、ラッシュ時は5ドアでも、ラッシュが終われば3ドアに変更できます。要は対応力が列車の寿命を延ばす秘訣かもしれません。

くれぐれも、手がドアに引き込まれないように>

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くれぐれも、子どもの手がドアに引き込まれないように注意してください。筆者は子どものときに一度だけ手がドアに引き込まれて痛い思いをしたことがあります。また、ドアが手に挟まれないように注意するのも大切。ドアの両端にはゴムが付いていますが、挟まると痛いです。子どもが列車のドアに興味を示すのはいいですが、あまりドアに触れないように注意したいものですね。

 

文・撮影/新田浩之