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年金の制度として、大きくは国民年金と厚生年金の2つがあります。イメージとしては、自営業の人であれば、国民年金に加入し、会社員や公務員であれば厚生年金に加入しているといったところでしょうか。 これはあたっているようであたっていないのです。実際はどう違うのでしょうか。それぞれの年金とその違いについて考えてみましょう。

■国民年金とは?

国民年金は基礎年金とも呼ばれるもので、自営業かどうかに関係なく20歳以上60歳以上の国民に加入が義務付けられています。 自営業者ももちろんですが、会社員も含まれます。年齢によるものですから、学生でも無職でも加入しなければならないということになります。 国民年金の場合、保険料は収入に関係なく定額となっています。ですから、受け取ることのできる年金の金額も一律となります。 ただし、これは、20歳から60歳まで完納した場合に限られます。この間に未納の期間があれば、その分だけ減額されるということになります。 40年間ですから、月数でいえば480カ月になり、その間に未納の期間が16カ月あったとすると、年金支給額×(480-16)÷480という計算になります。 平成31年度では年金の支給額が6万5千円となっていますから、この計算をすると、6万2千841円となるわけです。 もちろん、満額でも6万5千円しかありませんから、この金額で1か月の生活を送ることはできません。そのため、貯蓄をしたり、個人年金や年金タイプの生命保険に加入しているのです。 2016年の発表では国民年金の納付率は65パーセントだそうです。これは、まだ、国民の3人に1人が納付していないという状況ということになります。 ですが、2011年度は58.6パーセントで過去最低だったのですが、そこから、連続で納付率は上昇しているのです。これは、バブルの崩壊による不景気から徐々に抜け出せてきたということなのかもしれません。

■国民年金の被保険者

国民年金の場合、加入する立場によって3つに分かれています。第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者となります。 第1号被保険者は自営業や無職の人です。第2号被保険者は会社員や公務員といった厚生年金などの社会保険に加入している人になります。 第3号被保険者は第2号の被扶養配偶者となります。もちろん、配偶者であっても所得が一定以上ある場合は、第3号被保険者とはなりません。また、事実婚の場合も手続きを行うことで第3号被保険者とすることができます。 20歳から60歳までの国民であれば、納付の有無は別として、第1号~第3号のいずれかの被保険者となっているのです。

■厚生年金とは?

厚生年金は国民年金とは対照的に捉えられているイメージがあるのですが、実際には国民年金に上乗せされる年金です。 ですから、厚生年金の加入者は国民年金にも加入しています。国民年金は基礎年金と呼ばれ、その金額に加算される年金なのです。ですので、実際の納付額を見てみると、国民年金よりもかなり高額になっていますよね。 厚生年金の対象となるのが、主に会社員ということになります。自営業の場合は個人事業主ということになるのですが、個人事業主であっても常勤の従業員が5人以上いる場合は厚生年金に加入しなければなりません。 この場合、飲食店といったサービス業の場合は対象外となっています。また、従業員が5人未満の場合でも、従業員の過半数が加入に同意している場合には、申請をすることで任意に加入できるようになっています。 厚生年金の場合は、保険料は定額ではなく、給与をベースに算出されます。この金額の半分は雇用主である会社が負担するため、実際には半額を納付するといった形になります。 もちろん、加入期間も違えば保険料も異なるので、一概に年金の給付額がいくらになるかという数値はでません。 ですが、確実に言えることは、国民年金にも同時に加入しているので、国民年金の金額に厚生年金の金額が加算されるので、国民年金だけの加入者よりはかなり多くなるということです。標準的な年金額であれば、22万円程度になっているようです。