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年功序列の廃止やリストラなどが当然のように行われている現代では、中途社員や嘱託社員の雇用なども増加し、職場における上下関係にも大きな変化をもたらしています。 年功序列制度が当たり前だった時代は、先に入社した先輩から順に昇進していくものでしたが、現在では実力のある社員が先輩たちを追い抜いて出世していきます。 また、中途採用もあるため、上司が年下だったり、年上でも部下になったりということが珍しくなくなってきました。 そこで、年上上司や年下部下と付き合うには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。

■年上上司が意識する点

・仕事の頼み方 上司が部下に依頼する場合、命令口調だったり事務的になるケースもあるようです。部下が年下の場合はそれほど問題はありませんが、年上の部下に同じように接すると、必要以上に冷たく思われてしまうこともあります。 仕事を依頼するときはただ「お願いします」というのではなく、この仕事をできるのはあなたしかいないというように、相手を立てながら依頼することが大切です。 力を貸してほしいといえば、年上の部下も頼られていると感じて、仕事に対するモチベーションも上がります。 下手に出るのではなく、あくまで特別感を出して接することが重要です。 ・分からないことは頼ってみる 年上の部下は仕事の経験値もあるため、自分よりも人脈や仕事における引き出しをたくさん持っていることがあります。 上司になると部下に仕事のことを聞きづらい面も出てきますが、そこで率直に聞けるかどうかで、仕事の結果も大きく変わってきます。 年上の部下だと聞きづらいこともありますが、むしろ年上の部下のほうが聞きやすいこともあるのではないでしょうか。 上司だからといって全てを一人で判断しようとするのではなく、分からないことは年上の部下を頼ってみると、相手も自分が信頼されていると思い、全力でサポートしてくれることでしょう。 ・注意するときは人前を避ける 部下の注意の仕方に悩む上司は少なくありません。それが年上の部下であれば、なおさらでしょう。 年上の部下に限りませんが、部下を注意するときは人前を避けるのが賢明です。誰しも人前で怒られるのはいい気はしないものです。年上の部下だと自分より年下の上司に怒られていることを、屈辱と感じることもあるでしょう。 部下を注意するときは個別で会議室などに呼び、一対一で話し合うようにします。年下の部下なら「次からは気を付けるように」で構いませんが、年上の部下の場合は「〇〇してもらえると助かります」というように、語尾を柔らかくして伝えましょう。 また、単に注意するだけでなく、どうしてそうなってしまったのかを話し合い、相手の言い分をしっかり聞いた上で、今後の対策を話し合っていきましょう。 ・褒めることが逆効果になることも 部下が仕事を成功させたとき、上司としては手放しで喜び、褒めてあげたいと思うものです。相手が年下なら「よくやった」と褒めれば良いですが、年上の部下にその言葉を投げかけると、上から目線と思われて、素直に受け取ってもらえないこともあります。 年上の部下を褒める場合は「お願いして良かったです」「助かりました」「さすが〇〇さん」というように、感謝の気持ちや持ち上げるような言葉を伝えたほうが良いでしょう。