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育児、仕事、家事、社会のこと、ママたちが普段気になっていることを共働き家族に大調査!あなたの「どうして?」を「なるほど!」に変える記事をお届けします。vol.01は先日話題になった子連れ出勤についてです。

vol.1 子連れ出勤

2019年1月に内閣少子化対策担当大臣が、育児と仕事の両立を推進するため「子連れ出勤」を後押しすると表明、子連れ出勤の普及を行う地方自治体には補助を強化すると語りました。これに対し「待機児童問題の解決が先」「赤ちゃんと一緒に仕事するのは無理」など反対や不安の声があがり、大きな議論に発展。今回は、この問題についてママたちがどう考えているのかを調査しました。

4割が賛成…背景には待機児童問題が

まずは、ママたちに子連れ出勤の賛否について調査しました。

 

政府が子連れ出勤を推奨した直後に行われていたアンケートでは8割が子連れ出勤反対を表明したそうですが、今回の調査では4割が賛成と意外な結果に。その背景には、どういう理由があるのでしょうか?

 

子連れ出勤の課題は多々ありますが、それよりも浮き彫りになったのが、「子どもの預け先」に悩むママたちの状況です。 幼・保無償化が先行したことで、いまだに今年も「保育園落ちた」と悩む家庭が大量に出ており、子育て世代は少しでも社会の中に預け先ができることを切望しています。 また、仮に預け先が見つかっても病気になった子どもと仕事の対応に悩まされることも大きな課題です。子育て家庭の多い江東区では病児保育の施設を増やすなど各地で環境整備が行われていますが、まだまだ十分とはいえません。

 

こうした背景から、「保育園など預け先の確保に気を揉まなくていい」「病気など何かあったときにすぐ対応できる」という理由で賛成するママたちの声が寄せられました。

 

加えて「子育て中のママに優しい日本になってほしい」「育児に理解を示してくれる社会になってほしい」と、現在の日本社会が働くママに厳しい環境だからこそ、今後の変化に期待をこめて賛成票を投じたママも多くいました。

 

なお、反対(60%)では「子どもがいると集中できないと思う」という業務上の問題、職場環境や通勤などの課題が多くあがっています。また、「子連れ出勤は母親が連れて行くことが前提なんでしょ」といった声も多く、ママだけに負担が集中するのではないかという懸念の声もあがっており、パパも普通に子連れ出勤できるような社会の理解と共に、「子連れ出勤は人ごとではない」というパパ自身の意識改革も求められます。

新たな選択肢になるよう積極的に声をあげよう

とはいえ、過半数が反対を表明する子連れ出勤。実現させるためには、どんな環境改善が必要なのでしょうか?具体的に不安視されているポイントを聞きました。

子連れ出勤を実現させるために必要だと思うことは?※複数回答)

1位 職場に託児所やキッズスペースなどの施設 48票

2位 上司や同僚などの周りの理解 16票

3位  満員電車の改善、通勤時間の柔軟さなど 15票

 

1位は、ダントツで「託児所やキッズスペースなどの施設」(48票)という結果に。「職場内に託児エリアを設けることは必須として欲しい。いくら職場に連れていけたとしても、電話応対や来客中などは子供の相手は無理。同じフロアだとしても、託児エリアと保育士や保育担当などは明確化する必要はあると思う」というように、出社後の子どもの対応について、職場環境を改善するのが必須という意見が大半を占めました。

 

2位は「周囲の理解」(16票)で、上司や既に子育ての終わったママなどの理解を得るのが難しいと憂慮する声があがっていました。また、インターネットでは「子どもが嫌いな人には辛いから職場に連れてくるのはやめてほしい」などの声も挙がっており、子どもが苦手な同僚や、妊活中の方などへの配慮も欠かせません。 3位の通勤スタイルへの不安ですが、会社にオフピーク通勤を認めてもらう、満員電車の解消などが求められます。2月25日には、通勤ラッシュ時に「子育て応援専用車両」などを求める要望書が東京都の小池都知事に提出されるなど、子連れ出勤の足がかりとなりそうな動きも見えてきています。

 

この動きのように、子連れ出勤を最初から「無理」と切り捨てず、どうしたら可能になるのか考えたり、我々育児世代が積極的に意見を表明していくことで「子連れ出勤」は新しい選択肢になりえるかもしれません。

 

課題は山積みですが、今後十分な議論が交わされることが望まれます。

 

取材・文/阿部祐子 イラスト/兒島衣里
©️CHANTO調べ 調査期間:2019年2月4日〜21日 調査対象:CHANTOモニター97

 

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