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包丁は料理の味を決める重大な役割を担う調理道具とも言われています。 材料の切り方ひとつで味や舌ざわりが変わってくることもあるそうです。 そこで、刺身の味が包丁の切れ味や切り方によって変わるかどうか探ってみることにしましょう。

◆良い包丁の条件とは?

包丁は味を左右する調理用具と言われていますが、本当でしょうか?まずは、良い包丁とはどんな包丁のことを言うのかその条件について探ってみることにしましょう。

 

●食材をキレイに切ることができる包丁 良い包丁の条件とは、食材をキレイに切ることができることを第一の条件とするという見方があるようです。 食材を切ったときに食材の水分が出てしまう包丁は、良い包丁とは言えないそうです。例えば、玉ねぎを切ったときに、目にしみて涙がポロポロと出てしまう包丁もあれば、同じ玉ねぎを切ったのに涙が出にくい包丁もあります。 また、肉を切ったときに肉汁があふれ出してくる包丁もあれば、肉汁があふれ出して来ない包丁もあります。 どちらが良い包丁かと言えば、玉ねぎを切ったときに涙が出にくい包丁や肉汁があふれ出して来ない包丁の方が良い包丁ということになるのだそうです。 その理由は、切るときに肉汁や野菜の水分が出てしまうことで、うま味が逃げてしまうことになることになるからです。こうしたことが起こってしまうのは、包丁の刃先が滑らかでないために、切るときに肉や野菜の細胞を傷つけてしまうことで起こってしまうのだそうです。 食材を切ったときの切り口がザラザラしていたり、切るときに無駄な力が入ってしまう包丁は良い包丁とは言えそうにありません。

 

●刃持ちが良いこと 包丁の切れが悪くなってきたら、包丁を研ぐことで切れ味を回復することができます。良い切れ味がどれだけ長く続くかは、包丁を研ぐ職人の腕と包丁の刃持ちの良さによって決まってくるそうです。ですので、刃持ちの良い包丁が良い包丁と言えるでしょう。

◆包丁の選び方

良い包丁の条件について見て来ましたが、それでは包丁を選ぶときにはどうやって選べば良いのでしょうか?包丁の選び方について調べてみました。

 

●万能包丁を選ぶなら 料理のプロであれば用途に合わせて包丁を使い分けていますが、家庭で包丁を用途に合わせて何本も用意している人は少ないのではないかと思います。 野菜、肉、魚などの食材を切るのに使うことができる家庭用の「三徳包丁」あるいは「牛刀」を選ぶと良いそうです。 三徳包丁は、日本に肉食が広まって来たことで、西洋の包丁と日本の包丁を合わせたものとしてできた包丁になります。 サイズは約16.5cm、18cm、15cm前後のものがあります。大きさはご自分の使い勝手の良さで選ぶと良いでしょう。 牛刀は、西洋で作られた万能包丁になります。サイズが豊富で18㎝から30㎝まであります。 牛刀の方が包丁の先がとがっているために、包丁の先を使って切ることが多い料理をするのに向いています。 三徳包丁、牛刀どちらの包丁であっても、使っているまな板よりも刃渡りが短いものを選ぶことがポイントになります。

 

●素材を選ぶ 包丁の刃の素材は大きく分けると「鋼」と「ステンレス」になります。 それぞれに長所と欠点がありますので、その点を理解した上で選ぶと良いでしょう。 鋼の特徴としては、切れ味と刃持ちの良さを上げることができます。けれども、錆びやすいため注意が必要です。酸に触れると変色することがありますので、果物を切るのには鋼の素材はおススメできません。 ステンレスの場合は、錆に強いので手入れがラクです。そのため、ステンレス素材の包丁を使っている方が多いのではないかと思いますが、刃持ちは鋼に比べて若干良くないようです。 最近では、ハイス鋼やダイス鋼などのようなセミステンレス鋼という素材もあります。こちらは従来の鋼に比べて錆に強いのが特徴になっています。 どれもそれぞれに長所と短所がありますので、それを理解した上で選ぶことをおススメします。

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◆刺身をおいしくする切り方

包丁の選び方についてお分かり頂けたと思いますので、刺身をおいしくする切り方についてご紹介したいと思います。 どんなに良い包丁を使っても切り方が間違っていては台無しになってしまいます。 刺身を切るときに刃先を使って前後に刃を動かして切っていませんか?こうした切り方をしてしまうと刺身の切り口がギザギザになってしまって、うま味が逃げてしまうそうです。 刺身のうま味を逃さないで切るには、包丁の刃元を使って、手前にスムーズに引きながら1回で切るのがポイントだそうです。こうして切ることで、刺身に負担がかからずに切り口も滑らかにキレイに切れるそうです。 切り口が平らで滑らかかどうかで、うま味が逃げだしてしまうかどうかが決まるということのようです。 刺身をおいしく食べるためには、包丁選びが大きな鍵を握っていることが分かりました。これまで包丁は切れれば良いと思っていた方も、包丁に対する認識が随分と変わったのではないかと思います。 すぐに新しい包丁を購入することが難しい場合も今お使いの包丁の刃を整えて、切り方を見直すだけでも随分と違って来るのではないかと思いますので、ぜひ、試してみてください。